今年も残りわずかとなり、正月準備もそろそろ本格的に始まる頃。そこで今回は、奈良時代の国分寺跡に建つ、上総国分寺を訪ねてみた。長い歴史の盛衰を経て江戸期に中興した同寺。1300年以上続くと寺伝はいう。
市役所通りから一歩西へ入ると静かな住宅街が広がり、その一画に上総国分寺と史跡がある。通りを挟んで位置する尼寺と共に、学校の授業等で訪れた人も多いはずだ。
まずは現境内を正面から入る。手前には赤い円柱が12本。奈良時代に建てられた旧国分寺(以下、旧寺)の西門跡で、柱の間が3つの三間門だ。旧寺の正門は南の南大門で、いま面影はないが柱の間5つの五間門だった。
続いて現・仁王門。二像は今年9月、解体修理され元の姿をとり戻した。見どころは、向かって右の阿形像で鎌倉時代作。ぴんと指先まで張りつめた緊張感は、一見の価値あり。
門をくぐると、正面右に大イチョウ。大谷則夫住職によると樹齢は600年以上で、毎年たくさんの実をつける。大晦日、23時半頃から始まる除夜の鐘(整理券は23時頃配布)を撞いた人には、供養されたこのギンナンが、健康長寿のお守りとしていただけるそうだ。訪ねた時は色づいた葉が舞い落ち、周囲が一段と明るい。まるで黄色の絨毯のよう。
その正面が薬師堂。本尊の薬師如来は、奈良時代の高僧・行基作と伝えられ、名の通り、病気平癒や健康長寿に御利益のある仏様。毎年正月三が日に限りご開帳される。お堂の茅葺き屋根は苔むし味わいがあるが、来年夏ごろ、葺き替えを予定されている。
現寺の境内は樹木に囲まれた範囲まで。現寺を含む周囲の国史跡は、七重塔などを含む旧寺の中心部でほんの一部。旧寺の全域は全国でも3番目の広さがあった。
千年以上前の姿を想いながら、今も続く上総国分寺へ気軽にお参り。正月なら、市原ならではの初詣になるだろう。 (野)