NO.104

風に吹かれて出かけてみれば

生命力あふれる緑の長老


常盤木(ときわぎ)の杜を訪ねて

 

 暦の上ではもうすぐ春。しかし、寒さはこれからが本番だ。今回の探訪は、その中でもたくさんの葉をつける常緑樹を訪ねて神社の杜(もり)へ。昔から大切にされてきた鎮守の杜には、今も立派な巨木や森が残る。少し顔を上げるとそこでは、元気な杜の『主』が、腕を広げて迎えてくれる。
 案内人は、県内神職の手で、鎮守の杜をまとめた本『房総の杜』編纂委員の一人、大宮神社の平澤牧人さん(29)。市内で鎮守の杜としてよく知られているのは、大福山の白鳥神社と高滝湖畔の高滝神社だが、今回は、その他の杜をめぐった。

諏訪神社【シイ巨木】市内諏訪…地図1
 江戸中期に丘上に移されたと伝えられる神社。2基残る古墳のうち社殿向かって左に、ご神木であるシイの大木がある。樹齢は800年以上、幹の周りは10m近い。まるで古墳を守っているかのような迫力。ちなみに丘の下参道入口付近には、種が羽根つきの羽根の球に使われる、落葉樹のムクロジがある。

小鷹神社【シイ・スギ並木・スギ巨木】市内不入斗…地図2
 平澤さんが、本で紹介したかったと悔しがるのが、ここの杜。車なら、住友化学の社宅入口を入り、社殿横の鳥居から入るとよい。社殿前から真っ直ぐ伸びる参道は、シイとスギの大木が緑のトンネルを作っている。

建市神社奥宮【シイ巨木】市内武士…地図3
 かつては、追われた盗賊がここに入れば、無事逃げおおせるとされたほど深い杜で『盗賊の守護神』とも。今は『奥宮』として祠が残り、周囲は産廃処分場の敷地となる。お参りは入口の赤い柵の扉を開けて中へ。苔むした地面を、シイの巨木が囲み、柔らかい木もれ日が落ちていた。

妙見神社【スギ巨木】市内栢橋…地図4
 そばに立つ鳥居と比べて分かるように、とにかく大きい!そして、たくましい枝振りや葉の茂り方は、まるで若木のような勢いがある。「樹齢は…分からないんですよ。この大きさですが、環境庁のデータに出てこない樹なんです」と平澤さん。縄文杉とまではいかないが、はるか上の幹にまでうっすらと苔の衣をまとい、時間のエネルギーが凝縮されているよう。妙見様を守る盾のようで、圧倒的な存在感があった。

 冴えた冬の冷気の中、常緑の森に漂う樹の香り、鳥のさえずり。長い時間が創り上げた神のいませる杜はいずれも、深呼吸したくなる清々しさだ。(野)

問い合わせ/大宮神社・平澤さん
TEL/21・1979
地図

妙見神社の大スギ(市内栢橋)


 平澤さん

諏訪神社のシイ

不入斗の小鷹神社参道

武士の建市神社奥宮

栢橋の妙見神社の大杉は、
幹の太さも平澤さんと比べ一目瞭然
  



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