シティライフ株式会社

NO.107

風に吹かれて出かけてみれば

―市原市国本・折津―

 新緑に萌える
   房総丘陵を歩く

 

 

 野や山がパステルカラーに彩られる新緑の季節。山野草の花々が一斉に開花した市原市南部の房総丘陵に、千葉県畜産総合研究センター市原乳牛研究所と、その周辺を訪ねた。
 市原市国本(こくもと)、桜の谷と呼ばれる広大な丘陵地にある牧場は、農家から子牛を預かって育成する施設として昭和47年に開設された。広さ121ヘクタール(草地77ha)、外周約5km。正門から牛舎や事務棟のある所まで約1kmと、とにかく広い。養老渓谷方面へ向かう幹線道路からは見えないため、中に入って初めてその広さと見渡す限り牧草地というロケーションにおどろかされる。牛が草を食む草原風景はロケ地としても人気のスポット。おなじみのテレビCMにも登場する。
「生後6カ月のホルスタインのメス牛を15カ月間放牧育成し、乳が出るように妊娠させて農家に返します」と、牛舎を案内してくれたのは獣医の村田宏之さん。半年毎に110頭ずつ、県内の農家から受託している子牛は常時330頭。最初200kgだった子牛は、500kg前後に育つという。毎年市内小学校の3年生2千名が社会見学で訪れる。一般の見学も受け付けているが、観光牧場ではないため開放は月〜金曜日のみ。希望者は、事務所棟前の駐車場に車を置き、受け付けを済ませたら牧場内へは徒歩で。「牛たちもアップダウンのある傾斜地を登って放牧場を移動します。夏の暑い時は、バテてしまう子牛もいます」と笑う。
 駐車場から牧場内で最も高い所まで約1・5km。休憩用のベンチとテーブルがある標高130mの丘からは、新緑に萌える房総の山並みがパノラマで楽しめる。天気の良い日には富士も望めるという。はるか向こうで牧草を刈り取る超大型トラクターも、まるでミニカーのように見える。「生草を食べさせる放牧は、2〜10月。牧場内の草地では、冬場のための飼料として採草もしています。収穫した牧草は乾燥させて気密サイロへ詰め込む他、ロール状にした干し草をラッピングして醗酵保存します。牧草の漬物といったところです」と村田さん。牛たちの排泄物もすべて牧場内にある施設で堆肥化し、牧草地の肥料になる。
 緑の草原も開放的だが、何もかもが萌黄色に染まってしまいそうな森の中の散策もオススメ。国本の農産物直売所前から入る沢沿いの道を行けば、歩いて牧場外周を回れる。沢あり、渓谷あり、岩の回廊ありのコースでは、アケビ、ヤマルリソウ、タニギキョウなど、季節を待ちかねたように一斉に咲く山野草の花々が可憐。小鳥のさえずりに耳を傾けながら観察して歩けば、希少種のチョウやトンボ、木の枝を渡るリスにも出会える。谷津田を過ぎた頃、目の前の展望が開け、牧場の草原が現れる。さらに進むと、水が入り青空を映す折津の棚田が見えて来る。田植えがすすむ里山風景と、広大な緑の草原。自然と人との共生を感じながら、新緑に心洗われる思いで帰途についた。(国安)

地図

 


ヤマユリソウ
  



(C)City Life