シティライフ株式会社

NO.113

風に吹かれて出かけてみれば

 ―市原市瀬又―

 里山を彩る秋の草花をたずねて

 

 

  冷たい風に、一足早く色づいた木々の葉が散り始める季節。千葉市との境に位置する瀬又は、丘陵の谷間を水田にした谷津田が多く、里山の豊かな自然が残っている。土手や道の端、林の木陰など、様々に咲く秋の花を見つけに、10月初めの谷津田を歩いた。
 今回、道案内をしてくれたのは、瀬又の自然観察記録のホームページ『散歩道プロジェクト』を運営する地元の田頭さんと、身近な自然を楽しむグループ『フローラサクラ』の皆さん。メンバーのひとりが瀬又在住だったことから田頭さんと知り合い、今年の春の観察会はともに同じコースを歩いたという。その時に参加できなかった代表の久保田さんは、「チゴユリ、イカリソウ、イチリンソウなど、たくさんの春の花を見ることができたと聞いて、今回はどんな秋の花が見られるか、楽しみに来ました」とのこと。
 バス通りから少し離れた、車1台分の幅の道。緩い坂を上がって林に入ると、胴体の細長いオオアオイトトンボが目の前を横切った。道沿いの草花を見ながらゆっくり進み、途中にある園芸店を目印に、谷津田への下り坂へ。カーブを曲がると視界が開け、青空が広がる。稲を刈り取った田の土手には、紫色の花がたくさん咲いていた。「これはナンテンハギ、別名フタバハギです。豆科の多くは3枚の小葉がつくけれど、これは羽状に2枚の小葉が複数つくので、そう呼ばれています」と、久保田さんが説明。山陰の土手では、植物画を描くというメンバーがシダをかきわけ、「ひっそり咲いているのがヤマホトトギス。白い花に斑があるのが分かるでしょ?」と、小さなランのような花を見せてくれた。田の草の中には、薄紫の花が1本。「ハッカだよ。この辺りでは珍しいね。葉をつまんでごらん」と言われ、小さな葉を一枚取った。食材に使うミントよりも刺激の少ない香りで、とても爽やか。
 小さな橋を渡り、竹藪を過ぎると、さらに広い谷津田に出た。丈高い草に覆われている休耕田が多く、その中には、白いススキの穂が一面に揺れている所も。畦を少し入ると、小さな湧き水があった。「瀬又の谷津田にはいくつも湧き水があり、1年を通じて清水が流れています。今はどこでも冬の前に水を止めてしまう乾田が主なので、冬の水辺に産卵するアカガエルなど、他の地域で激減してしまった動植物も多く見かけます」と田頭さん。湿地のような休耕田には、赤い実をつけたタコノアシ。可憐な白のユウガギクの群生もあった。再び林に入り、坂道を上る。斜面には白い小花をたくさんつけたイヌショウマがあちこちに、小さな五弁の花のゲンノショウコも咲いている。陽当りの良い場所には、濃い紫がきれいなトリカブトの花も。
「瀬又では四季を通じて、谷津田のどこを歩いても様々な動物、草花たちに会えますよ」と言う田頭さんは、ふだん散歩する道で千葉県が絶滅危惧種に指定した動植物を39種確認。「住んでいる近くで、これほど豊かな自然を楽しめてうらやましいと知人に言われます」と話す。様々な草花が咲く瀬又の谷津田。秋の花たちを探しに、ゆっくり歩いてみては。 (米澤)

※10月末位まで開花時期ですが、天候により変わります。見つけたら摘み取ったり持ち帰らずに、保護を心がけましょう。

■地図
久保田さん(左から5番目)、
田頭さん(右から3番目)と、
一緒に歩いた皆さん
イヌショウマ
ハッカ
タコノアシ
ゲンノショウコ
  



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