少年犯罪や児童虐待。新聞やテレビで報じられるこれらの事件の背景には、家族の絆の崩壊があります。(社)倫理研究所では文部科学省の後援を受け、『育ちあう家族へ』のテーマで全国各地で講演会を開催しました。市原市では(社)倫理研究所上総地区(桜井紘一地区長)主催で、稲田博己常任理事が“今、家庭に求められるもの”のタイトルで講演。会場のYOUホールには、427名が集まりました。その一部をご紹介します。 (国)
市原のみなさん、こんにちは。先日の新聞に掲載された少年が起こした凶悪事件の最高裁の調査結果をご覧になったでしょうか。それによりますと、少年犯罪の芽はどこの家庭にもあるというのです。子どもが挫折を体験したとき、親がどう受け止めるかがポイントになります。親の期待が過剰になったり、要求し過ぎると、子どもは心に闇を育てることになるというのです。また、嫁姑間や夫婦間の葛藤など、家庭のもめ事は想像以上に少年の心に傷となって残るようです。いずれにしても温かい人間関係に欠けた家庭に問題が多いと指摘されています。
それではいくつかのアンケートから見てみましょう。世界各国の子どもに「どんなときに充実感を感じるか」を問いました。アメリカ、ヨーロッパ、アジア各国の子どもの7割から5割の子が「家族といるとき」と答えたのに対し、日本の子どもは1番に友人や仲間をあげ、家族と答えたのは全体の4分の1でした。つまり、日本の子どもたちは家族といるのがつまらないと思っているのです。今IT革命という言葉を聞かない日はありませんが、今日の日本にとっての緊急課題は『家族革命』だと私は思います。
どの親のもとに生まれ、どんな兄弟たちと育つかは宿命です。しかし、どにような家庭を創るかは、家族一人ひとりのメンバーが意識すれば可能なことです。夫、妻、子ども、孫、みなさんは、今どのような家族と暮らしていらっしゃるでしょうか。一緒に暮らせるのは夫婦でもせいぜい50年、親子だとその半分くらいです。かけがえのない家族を今一度見つめ直して、暮らしていきたいものです。
私は男3人、女3人、6人の子どもに恵まれました。子育てをするにあたっては、家内と話し合い、いくつかの決めごとをしました。“子どもは助産婦さんに来てもらって家庭で出産する”お産では、私も手伝いました。“年賀状には家族全員を載せる”初めは嫌がっていましたが、30年たった今でも続けています。それとわが家の憲法のひとつに“食事をするときはテレビを見ない”というのがあります。また“子どもたちの成績についてはとやかく言わないこと”です。点数や成績が子どもの心をどれだけ傷つけているか、様々な問題はそこにあるような気がしたからです。おかげで、みな親以上にたくましく育ってくれました。ありがたいと思っています。みなさんも『我が家の憲法』や方針を、ぜひ話し合ってみてください。
私は明るく和やかな家庭をつくる一番身近な方法は、みなが揃って食事をすることにあると思っています。でも、今それがとても難しくなって来ましたね。家庭の崩壊は食事の崩壊から始まるといってもよいでしょう。非行に走った少年の食生活を調べても孤食が目立ち、一緒に食べていても会話らしい会話はなかったといいます。家族と一緒に食べる機会を1回でも多く持ちましょう。そして食事中はテレビのスイッチを切りましょう。団らんの時、私は自分の苦労したことや失敗談を子どもたちによく話しました。子どもに人生を教える良いチャンスとなり、お互い家族が家族であることの確認の場にもなります。
どんな組織にも引っぱっていくリーダー役とまとめる女房役がいるように、家庭でもそれぞれ役割があります。子育ては、これまでの日本の家庭では母親に任せきりになっていました。でも今、私はお父さんに申しあげたい。「父親よ、家庭に帰れ」と。子どもの問題は最後は夫婦の問題です。夫婦が仲良くないと、子どもは自分の存在を見失ったり、自信をなくしたり、情緒不安定になったり、健全に育ちません。夫婦のお互いが、どんな小さなことでも「ありがとう」と言える感謝の気持ちを持って暮らしたいものです。