市原市消費生活センター主催の『消費者のつどい いちはら2000』で、講師・高嶋秀武氏が「しゃべり上手で差をつけろ」の演題のもと、愉快なトークを披露して下さいました。この講演には定員を超える聴講希望者があったそうです。高嶋氏の話術に会場は大きな笑い声が響いていました。その一部をご紹介しましょう。 (不)
私はアナウンサー歴30年ですが、ラジオなので案外顔は知られておりません。番組を聞いて下さる方は良いふうにイメージされるようで、講演会などに行きますと、私を見るなり一様に落胆の目つきをされます(笑)。
ニッポン放送に入社した時、皆がテレビを選択する中、私はたった一人、ラジオを希望しました。スポーツアナウンサーになりたかったのです。当時、スポーツの実況放送は一挙手一投足を速射砲のようにしゃべり、聞く人を興奮させたものです。このスポーツアナウンサーを8年間担当しました。現在は朝の情報番組『お早よう!中年探偵団』を16年間続けています。
さて、今日のテーマは「しゃべり上手で差をつけろ」ということですが、私を含め、中高年のオトコはなかなか「しゃべり上手」という訳にはいきません。特に家庭では口が重くなるものです。
夫婦は仲の良いことが一番。しかし毎日鼻をつき合わせていますと、色々問題はおきます。鉄則は、リタイアしたら、現役時代にどれだけ活躍したとしても、その思いとスッパリ決別すること。以前、名刺を持ったおじいさんに出会ったことがあります。名刺には「東証一部上場企業 ○○株式会社 元取締役総務部長 ○○○○」と書いてありました。大企業であるこの会社に、昔つとめていたのでしょう。しかし年をとったら元社長も元平社員も、み〜んな同じおじいさんです。現役時代と同じ態度をとり続けたら、周囲から一人浮いてしまうし、奥さんだって怒ります。わきまえた方は自分の先ゆきを把握し、ご夫婦で趣味を楽しみ、仲間に同化しつつ、自分のポジションを作っていきます。
考えるに、日本の歴史の中で若い人達がこんなに華やかで、社交的で、自分の意見を堂々と述べるなど、かつてあったでしょうか。私達は芋の煮っころがしに代表される「お袋の味」で80年の寿命を得ました。食べ物は体型だけでなく精神も作ります。食の変化により、ある人は『今の若い人はアメリカ人だ』と言います。しょうゆ顔、足長。やたら女性に優しい。「俺について来い」「文句あるなら出て行け」の私の世代には考えられません。
しかしながら、文化のリーダーは常に若者です。アメリカ型の夫婦がふえたことはお母さん達に多大な影響を与えています。というのも彼らが一番大事にしているのは、奥さんの誕生日と二人の結婚記念日。我々戦中派は、女房の誕生日など全く気にしません。朝出かけ際に女房から「今日、何の日か知ってる?」と聞かれても、「知らない」「結婚記念日よ。15回目の」「へぇ、15年か。年とったね。おまえも」で終わりです。ところが今の人は、レストランでゴージャスな食事を楽しんだり、プレゼントを贈ったり。
その様子を見ているのが昔気質のご主人を持つ奥さん方。誕生プレゼントのアクセサリーを娘から見せてもらいながら、さびしい思いをするのです。「結婚してン十年。別に不満もなく暮らしてきたけど、時代がこれだけ変わると何だかさびしい。私はお父さんに何かプレゼントされたことがあったかしら」と思うわけです。何しろ釣った魚にエサはやりませんから。
ある人が言うには、21世紀の夫婦像は「合理的に仕事をし、レジャーはレジャーでしっかり楽しむ」だそうです。そういうアメリカナイズドされた日常生活が、どうも国際基準の豊かな生活らしいということになってきました。
そこで国際結婚した人達に聞いてみると、必ず言うのが「口ってタダなんだよね。リップサービスの本当の意味が、結婚して初めてわかったよ」です。口数は少なくても、言ったことに責任を持つのが日本男子。「男性は無口をもって良しとする」。でもこれは間違いなく、前世紀の遺物になるでしょう。だいたい日本の男性は、外ではお世辞を言うのに、奥さんには本音を言いますからネ。
女性の権利の主張、意識改革。どうやら、我々も家庭を大事にしておいた方が良さそうです。ある偉大な学者が言いました。「男は人の話を右耳で聞き、必要なものだけを頭に残して、いらないものは左耳から捨てる。女は両耳で聞き、聞いたもの全部を頭の中にためる。そして、たまったものは洪水のごとく口から吐き出す」。世の亭主族は、帰宅したら奥さんの話を聞いてあげてくださいね。「そうか、そうか」と生返事でいいですから(笑)。でなければ欲求不満が募って、将来、あわれな老後が待つことになるかもしれませんよ(笑)。