rogo.gif (6627 バイト)

NO.146

  

 油絵に魅せられて
 キャンバスに心を塗り込む 
 
 油彩画家 斎藤 良夫さん

  
 東金市日吉台に住む油彩画家・斎藤良夫さん(71)は先月、自宅隣の倉庫をギャラリーとしてオープンさせた。ここは年に2〜3回、作品展を行い、地域住民の憩いの場として開放したいという斎藤さんの願いで実現した場所だ。福島県生まれの斉藤さんは、これまでに油絵で数々の賞を受賞している。

■絵を描きはじめたのはいつ頃からですか?
「小学校低学年の頃から絵を描くのが大好きでした。近所の看板屋の店主さんが肖像画を描いていたので、しょっちゅう習いに通っていました。今で言うならば、マンガのキャラクターを真似る子ども達と同じ感覚で、当時は女優さんの似顔絵のデッサンをしていました。しかし小学4年生の頃には日本は終戦を迎え、物があまりない状態。当然、今のような白い紙も無く、藁半紙を使っていたんです。鉛筆も芯の固いもので、紙にプツンプツンと穴があいてしまう程。雑誌の写真を見ながらデッサンをしました。描けば描くほど楽しくなっていき、本格的に勉強したいという気持ちが、どんどん大きくなっていきました」
■画家になることに対してご家族の反応は?
「『画家では生活していけない』と両親は大反対。でも中学生の時には私の心は決まっていました。反対を押し切って17歳で東京の研究所へ。そこでは画家を志す人々が集い、指導者はいないものの、皆でデッサンをしながら油彩画の勉強をしていました。貧しい状態で、大変な暮らしが続きましたが、絵画への情熱があったから、画家になる夢を捨てずに頑張れたのだと思います。3年後、活動拠点を東金市に移し、アトリエを構えてからは自分一人で思い思いの作品制作をする毎日。今もそうですが、一度描き始めたら昼夜関係なく、納得いくまで描き続けます。気分が変わってしまったら、その絵は完成しませんからね」
■風景画だけでなく、様々なものをテーマに描いてらっしゃいますね。
「はい。様々な種類の花や、抽象画、絵各地の雪景色や海をテーマにしたり。故郷・福島の大玉村には海が無いので、昔から憧れを抱いていました。犬吠埼や九十九里に何度も行って、様々な様子を描きました。見る度に違う表情を見せてくれるので、描いていてとても面白いんですよ」
■ヨーロッパにスケッチ旅行をしに行くことも多かったとか。
「尊敬する画家の林武先生にすすめられ、何度も足を運びました。ヨーロッパは有名な画家さんを輩出している国が多いので、『画家』への理解がとても高く、旅行に行っても過ごしやすいところ。パリのような美しい街並みも魅力的ですが、田舎の農村風景が私はとても好きです。古い家屋がそのまま残っていて、何だか懐かしい気持ちになります」
■田舎の情景を描いた作品は、暖色系の色が多く使われていますね。
「私の絵は必ずしも写実というわけではありません。実在するものを自分の頭の中に取り込んで、イメージした情景を絵にするのです。例えば『ゴヤを訪ねて』は、実際に見た時は夕焼けではありませんでした。人々の生活を表現しようと思ったら、自然と暖かい色になったというわけです」
■絵を描くときのこだわりを教えて下さい。
「その時の自分の感情を塗り込んでいきます。1枚1枚に大切な思いが込められているから、愛着が湧く。絵は上手になれば良いというわけではなく、自分を表現する一つの方法なんだと思います」
■最近はどんなものを描くことが多いですか?
「『壁』です。古い建物を描いているうちに、壁には様々な歴史を物語る力があることに気がつきました。キズやシミ一つにしても、そこに住んでいた人々の生活が想像できます。何十年、何百年と人々を見守ってきた壁の奥深さを表現したい。その為に、一度出来上がった作品に違和感を感じたら、納得がいくまで何度でも塗り直します。また、壁の一部に英字新聞を貼り付けてつくるコラージュという技法にも凝っています。いかに自然に馴染ませるか。それを追求していくのが楽しい。今後もしばらくは壁を描き続けたいと思います」
 ギャラリー内は壁いっぱいに作品が飾られ、中央に会話を楽しむためのテーブルがある。「今まではアトリエにこもりっぱなしだったので、これを機に地域の方と交流したい。そのうち庭に皆さんを呼んで、バーベキューをするのも良いかな」と斎藤さんは笑顔で話してくれた。(斉藤)
  
お問い合せ/斎藤良夫さん
TEL.0475-52-2640
map



(C)City Life