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NO.19

「紙でつくる小さな世界」

紙細工の達人
磯田貢さん

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 一辺が2〜3センチの幕の内弁当やにぎり寿司。直径数ミリのドーナツや菓子パン。ラーメンやそばには、ネギやなるとまでのっている。小さくてもどれも本物そっくり。紙細工の達人、磯田貢さんをちはら台の自宅に訪ねた。

□紙細工を始められたきっかけは?
「こんな雛形の紙細工を作るようになったのは6年くらい前かな。10年前、遊びで姪っ子にラーメンをこしらえてあげたんです。色あせても宝物のように大事にしてくれている話を聞いて、また作ってあげようと思ったのがたくさんの作品を作るきっかけになりました」
□ 手先が器用でいらっしゃるんですね。
「私は浅草の生まれでね。小さいときから寄席が大好きで、いつも一番前で見ていましたよ。細工物に興味があって、見よう見まねで覚えた切り絵は今でも道楽で続けています」
□現役時代はどんなお仕事をなさっていたのですか?
「家がカバン屋だったので、若い時はカバン職人を。その後の何十年間は印刷業を。色彩や紙に関しての知識が、いま役立ってますよ。印刷業をしている親戚がいらなくなった印刷の紙見本をくれるので、作品に使っています。ほらこんなにきれいな色の紙もあるんです」
□作品はすべて色紙を使っていらっしゃるのですね。
「作品は絵の具で彩色するのではなく、すべて紙の色を生かして作ったモノです。この肉も赤い和紙と白い和紙をねり合わせて糊で固めたものをスライスして作りました」
□ 透明感のあるこのイクラも紙なんですね。どれも美味しそう。
「頭で想像するよりも見たものが形になる場合が多いので、どうしても食べ物の作品が多くなるんです。それに、子どもたちも食べ物を喜んでくれるもんですから。パン屋さんに入ってもついついじっくり見てしまう(笑)」
□平面的な紙から、こんなに立体的な作品が出来るなんて不思議ですね。
「"こより"です。色を重ねながら作ったこよりをカッターで切って、ネギやなるとを作ります。ネギは糊を付け過ぎると良くない。少々はがれてるくらいがいい。米粒の一つひとつは、白の細いこよりを何十本も作ってはさみで切って作ります。どうしたら本物らしく、美味しそうに見えるか苦心のしどころです。世の中暗い話ばかりだから、見てるだけで楽しくなるこんなのもいいんじゃないのかな」
□ 作った作品はどうされているのですか?
「地域の文化祭に出品したり、よく行く病院にかざってもらったり。大半は人にあげちゃったな。よく教えて欲しいと言われるけれど私も習ったわけではないし、勘弁してもらってます。人前に出たら手が震えちゃって出来るモノも出来なくなっちゃいますよ(笑)」
□細かい仕事ですね。お疲れになりませんか?
「いやあ、年ですから疲れますよ。庭の手入れや家事に忙しいから、こればっかも出来ないですよ。1日2時間程度ね。でもやってると時間を忘れます」
 人には小さなモノを慈しむ心がある。これはなあに?どうしたらこんな風に出来るの?顔を作品に近づけて見ていると、あっという間に時が過ぎる。作品を見て喜んでくれる皆の顔が、楽しみで作るのだという。こよりを撚る磯田さんの右手親指は指紋がなくなるほどつるつるだった。これからも今まで作った事のない作品にチャレンジしていきたいと話す。  (国)

 
写真1
切り絵の作品も素晴らしい。
紙細工は食べ物の他、稲刈りや昔話の風景も再現。

写真2
箱の蓋の裏に並べられた和菓子の数々。
どれも美味しそうだ。



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