今年4月、東金市で初めての女性消防団員が誕生した。
消防団は消防本部、消防署と同じく法律に基づいて市町村に設けられている消防機関。団員は、それぞれ職業を持つ地域住民の有志。
浜辺幸江さんは、生まれも育ちも東金の『おまつり大好き』女性だ。
□何故、消防団に入団を?
「もともと地元密着型の行事活動が好きだったんです。小学生の頃からまつり囃子の『青と会』に入っていて、今でも三味線をやっています。私の入団した『東金市消防団第一分団第一部第一班』(団員数15名)にも、このお囃子の会に入っている方がいて、防災活動以外にも地元の行事に関わる消防団の集まりの話をしてくれ、私が楽しそう〜と言ったら、入ってみれば?って声をかけてくれたんです」。
□市内の消防団では初めての女性参加。唯一の女性ということでも、入団に迷いはありませんでしたか。
「同じお囃子の『青と会』の方々が何人かいましたし、特には…。昔のイメージだと、消防団って男の世界。でも、今は自衛隊や警察と同様に女性も活躍できる場だと思うんです。消防団を通じて地域との関わりをと思う方は、ぜひ抵抗感持つことなく入ってきてほしいですね」。
□消防団の年間活動について教えてください。
「まず、1月に消防署と合同で出初め式。春は6月にある操法の大会に向けての練習。秋の火災予防週間や年末には警ら(パトロール)を。消防の訓練は、大会近くでない限り、通常は月1、2回消火栓等の手入れで集まるくらい。それに加えて、地元の火正神社や日吉神社のお祭りの時に準備等のお手伝いも」。
□操法の大会とは?
「操法とは、消防訓練のこと。消防車やポンプ操作、ホースの取り扱い、放水・撤収が〈速く・正確に・規律正しく〉行えるように練習に励むのです。大会では、5人が号令に合わせて整列し、団員の規律、態度、位置、型通りの動作をしているか採点されます。規則正しい消防技術と団体行動の敏速さを図ると共に、強固な消防精神を育成するのが目的だそうです」。
□ゆくゆくは浜辺さんも操法を?ホースをかついで動き回るのは大変そうですね。
「やりたいとは思っていますが、女性が出られるかどうか前例がないのでわかりません。訓練で使うホースの重さは5キロ位あるのですが、実際火災現場で使うものはもっと重く、しかも放水後は水を吸うので更に重くなります。自分ではトシの割にタフな方だと思うので、あとは体力の続く限り頑張りたいです。今の私ができることは、訓練ですぐまた使えるようにホースを巻いたり夜間の訓練なのでライトアップの手伝いや休憩時にジュースを配ったり。でも、やっぱりいずれは操法の大会にも出たいので、いつやれと言われてもできるように皆さんのやり方をしっかり見て覚えたい。体力づくりに東金アリーナのトレーニングセンターへ行こうと思っています」。
□4月に入団して、すでに火災現場に行かれたことがあるとか。火災発生後、消防署からの連絡はどのように?
「はい。4月末のボヤと5月はじめに建物消失があり、現場に行きました。私達の団では、全員が無線機を持っていて署の発令が直接聞こえるようになっているんです。外出先や仕事先でも、みんな携帯電話を持ちアイモードにしているので、無線できた連絡がグループ発信でメールで全送されるのです」。
□連絡を受けたら、現場に直行ですか。
「そうです。消防車に刺し子(防火服)と長靴、ヘルメットが備えてあるので、現場で作業服の上からはおって作業にあたります。一刻を争うから、家に帰って着替えてなどと言ってられないのです」。
□火災現場に到着したら、消防署員の方と同じ作業をするのですか。
「消火作業は消防団本部の方の指示に従ってやります。鎮火後、現場検証が始まると団員は現場から出て、検証が終わったら後片づけをします」。
□さて、5月に入籍、秋には結婚式を挙げられると聞きました。これからも消防団の活動は続けていく予定ですか。
「もちろん。昨年の春に結婚を決め、入団を考えたのはそのあとですから。主人も賛成してくれ私自身も続けたいと思っています。お勤めしていた会社は、この春に結婚退職しました。現在はコンビニでパートで働いています。子どもは早く欲しいので、まずは出産。そして、すぐ団に復帰したい」。
□消防団の入団についてお友達の反応は?
「冗談で言っているのかと思ったなど、言われました。私もやろうかな、という人もいました。何か嬉しいですよね」。
□もっと女性の団員が増えてほしいと?
「はい。女性団員ならではの活動もいろいろ案が出ているんです。たとえば、一人暮らしのお年寄りのお宅の巡回や火災現場での介護、災害時の炊き出しなど。無理に男性並に同じことをしなくてはと肩ひじ張ることなく、女性ができる形での参加ができたらいいと思います」。
結婚のお相手は消防署の署員さん。「いつまでも恋人同士みたいな夫婦でいたい」と、浜辺さん。
ひとりでいるより大勢で賑やかにしている方が好き、紅一点であろうと親睦会にもどんどん参加しちゃう!と、とことん元気な浜辺さん。
「へこんじゃうことがあっても、新しい世界に飛び込み、今までと違う自分を発見し、クヨクヨしない」と、きっぱり。
どんよりとした梅雨空を吹き飛ばすような明るい笑顔で、終始インタビューに応じてくれた。(内田)