ここ数年、ボディボードが人気だ。サーフィンに比べて道具の値段が安い・波乗り技術が難しくない・持ち運びの手軽さなど全ての面でライトな感覚。それがスポーツにも馴染みのない人にも受け入れられているようだ。これは、ボディボードをするボーダーの7割強を女性が占めるという事実からも、うかがいしれる。
今回は、ボディボード歴10年以上の石井夕子さんに登場していただいた。
□石井さんがボディボードを始めたのは、日本でブームになる前ですね。どうして、ボディボードを?
「私は生まれも育ちも岬町。海が身近にあったので、たまたま高校生の時、ボディボードにトライしたのです」。
□いつもどこで波乗りをするのですか。
「もっぱら家の近くの一宮の海。朝、仕事に行く前に行ったり、休日は1日中海に入りっぱなし。時々、仙台や伊豆方面に行くこともあります」。
□仕事の前に波乗りを?ずいぶんハードな生活ですね。
「行く時は毎日行くこともあれば、行っても30分しか入らない時もある。波次第です。私にとって、『波乗りに出かける』という感覚はなく、波乗りはもう生活の一部なんです。だから、ハードと言われても…。年齢を考えると、大会に出られる限界も近いので波乗り中心の生活をしたいだけ」。
□一般的にボーダーの皆さんは、マリンスポーツとして楽しんでいるのですか。
「皆、それぞれのスタイルで楽しんでいます。純粋にレジャーとして楽しむ人もいれば、ボディボードは結構運動量があるので、女の子だとシェイプアップやダイエットにと楽しみながら頑張る人もいます。プロになりたいという意志を持ち、やっている人もいます」。
□日本でボディボードのプロとして生活は成り立つのでしょうか。
「それは、自分がプロとして何をしたいかによると思います。自分のやりたいビジョンを明確に持ち、それに合うスポンサーを探せるか、です」。
□石井さんはプロを目指そうと考えたことは?
「なりたいとは思いましたが、現状を考えると無理。というのは、やはりボディボードのプロ1本で生計をたてるのは難しいし、『2足のワラジをはけばいい』と言われましたが、現在やっている歯科助手の仕事も好きだし、片手間にできるものではないと思うから。プロとしてやっていくなら、大会出場はもちろん、次世代を担う子ども達にボディボードの楽しさを教えると共に、環境問題に関する活動にもがっぷりと取り組んでいかなくてはいけない。自分達が入る海は自分達がきれいにする、これはプロなら絶対にやるべきことだと考えています」。
□海をきれいにする。具体的に石井さんは、どんなことを心がけているのですか。
「ゴミの持ち帰りはもちろん、時にはビーチのゴミ拾いも。将来的には海岸にゴミ箱の設置をしたいです。これについては賛否両論ありますが、たとえば、オーストラリアやハワイのビーチでは10メートルおき位にゴミ箱があり、ほとんどゴミがない。房総でも鴨川など幾つか設置している海岸もありますが、まだ少ないのが現状。一宮にはありません」。
□ここ10年ほどで石井さんの気づいた海の変化は?
「温暖化を肌で感じます。海水が温かくなったんです。あと、海水の味・色・匂いが年々ひどくなってきています。これに対して、合成洗剤を使わず、天然成分の洗剤を使うなど気をつけています。自分ひとりの力は小さいけれど、それが5人、10人となれば良い結果につながると信じて。波乗り仲間は、自分達が入る海だからキレイな方が気持ちいいし、そういった気持ちいい部分に貪欲な人が多いんです。そして、子ども達にキレイな海を残してあげたい」。
□ところで、ボーダーは若い女性が多いと聞きましたが?
「私は茂原にある『ヴィガー』というサーフショップで、休日はボディボードのインストラクターをしているのですが、最近は男性もずいぶん増えました。たしかに若い人は多いですが、いくつからでも、その人なりのやり方で楽しめるスポーツです。実際、私の親の年代の方もいます。やってみたらハマッた〜って」。
□ボディボードの魅力とは?
「私が私でいられること。私がナチュラルな状態になれることです。自然の中に入れる気がするのです。錯覚かもしれませんが、これに尽きます。海という自然の中でボディボードを介して、すごく自分らしくいられるのです。私は、ただ波乗りをすることが自然なことだから楽しんでやっている。楽しいことだから、まだボディボードの世界を知らない人におしえてあげたいと、インストラクターもしている」。
□石井さんは、ずっとボディボードを続けますか。
「やれる限り!40代は楽勝。今と同じスタイルで続けることは不可能でしょうが、その歳なりのやり方をすれば、50、60になっても続けられると思います。要は関わり方。私は歳を重ねてもボディボードと関わって生きていくだろうな」。
「結婚して自分の子どもが生まれたら、海に連れていくのが夢。もう、歩くことができる前に海にボチャ〜ンって入れちゃうかも」と、茶目っけたっぷりに話す石井さん。
ビーチで彼女を見かけたら、声をかけてみて。きっと、キュートなミニヒマワリのような笑顔で挨拶を返してくれるだろう。 (内田)