ケーキやパンを作るのが大好きで、それが高じて今では自宅で人に教えるまでになった人がいる。手に入りやすい材料を使って作る家庭的なお菓子から、プロ並のこだわりのケーキまで教える範囲は広い。長生村に住む樫崎麻由美さんにお話を伺った。
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ケーキを教えるきっかけは何だったのでしょうか?「まだ子供が小さかった頃、育児だけに時間をとられるように感じ、これでいいのかなと思うようになりました。そうかと言って働きに出る気はなく、それでパンとかケーキを焼いて手作りショップに置いてもらうようになりました。すると買った方から教えて欲しいと言われ、公民館などで教え始めたのがきっかけです」。
−− 人に教えるのに不安はありませんでしたか?「以前住んでいた所では喫茶店のケーキを頼まれて作っていましたし、色々な先生の料理教室やケーキ教室などにも通っていましたから技術面も知識もかなりあったと自負しています。でも一応自分の張り合いにと、調理師と製菓衛生師、フードコーディネーターの資格はとっているんですよ」。−− 教える際のモットーは?「楽しく作ること。分かりやすく教えること。そして和気あいあいとアットホームに、ですね。作り方もhこうじゃなくてはならないfではなく、hこうもできるfという感覚で教えます。計量は基本ですが、たとえば甘党もいれば辛党もいますよね。だから基本は知った上で、自分の頭で創意工夫ができるようh幅fを持たせられるような指導を心がけています」。
−− 幅と言いますと?「たとえばクッキーですが、教室に最初来られた方にバターとマーガリンで作ったものをお出しするんですよ。味を比べながら食べなければどっちがどっちか意外と分からないものですね。ケーキ=無塩バター・グラニュー糖では決してないと言うこと。お店に出す訳じゃないですもの。でも、どうしてもここはこれでと言う材料はもちろんありますよ。そういうものは必ず念を押しています。 また教えるときも初級の方には楽しさを、それ以上の方にはより美味しさに焦点を合わせた教え方を心掛けています。だから自宅で教え始めてから16年が過ぎましたが、いまだに最初の方が飽きずに来てくださっていますよ」。
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随分長い方がいらっしゃるようですが、教えるものがなくなりませんか?「ひとつのスポンジケーキでも形、配合、クリームの種類、使う果物などを変えると、何十にも姿を変えた物が出来ます。だから例えば3人来てくださったら3種類のケーキを作ることも可能なんです。今は自宅での教室の他に文化会館や小学校などで子供達にお菓子作りを教えたり、料理も公民館で教えています。失敗もありますが、それも味のうち。手作りの楽しさが分かればそれでいいと思います」。
−− 楽しそうですね。「生徒さんには臨機応変、柔軟さを心掛けていますが、私自身は自分の作るものに関して妥協はしたくありません。こだわりのh職人fでいたいと思っています。昨日は時間があったので、庭になった甘夏でマーマレードやピールを作っていました。市販の物は極力使わず手作りしています。暇さえあれば台所にいて新しいことを試したりもしていますよ」。
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何か失敗はありましたか?「5年くらい前、知人にお祝いのケーキを頼まれたのですが、真夏でどうしてもクリームがだれてしまうんですね。しかも少しリッチにしようと思ってメロンを使ったので水分も出てしまい、最悪のケーキになってしまいました(でも味は抜群)。彼女の立場を考えるとただただ申し訳なくて泣きたい気持ちでした。自分でも情けなくてその日からかなり落ち込み、ケーキ作りをやめようとまで思いました。今でも胸が痛みます」。
−− それでもいまだにケーキを作っていますよね。「とにかくh作るのが好きfの一言ですね。年をとって教えられなくなってもケーキやパンを作っていろいろな人に食べてもらっていると思いますよ、きっと」。
◇ ◇ ◇ この取材中にも昨日の教室で残ったパイ生地で甘夏のピール入りのクリームチーズパイと苺のムースが出来上がった。庭で育てているハーブも添えられ、ちょっとした心遣いにも樫崎さんのh職人fとしての意気込みを感じることができた。