劇団四季を代表するミュージカル俳優石丸幹二さんのふるさとは、市原姉崎。その端正な顔立ちと甘い歌声は、観客を魅了する。劇団四季が創立50周年を記念して上演中のオリジナルミュージカル『異国の丘』では、祖国と恋人に殉じた悲劇のプリンス九重秀隆を主演。公演前のひととき、浜松町の劇場を訪ねた。
◆長期の公演中、石丸さんはシングルキャスト。健康管理は大変ですね。
「特に旅公演とかは、体力勝負になりますね。ハードになればなるほど、プラス思考でいるようにしています。行った先々で、美味しいモノ、気に入ったモノを見つけては、気分転換しています。良い意味で、シングルキャストということが緊張感を生み、風邪などひかないようです」
◆姉崎の実家に帰られることはありますか?
「全国各地で公演していますので、行くと2〜3カ月は留守にします。なかなか思うようには帰れないのですが、年に1度くらい。ドライブが好きなのでアクアラインを渡って南房総まで足を伸ばすこともあります。姉崎の商店街にも同級生がいますので、店を訪ねたりすることもあります。小学校の時、メロメロに恋しちゃった初恋の人に会ってみたい気もしますね(笑)」
◆有秋東小学校から姉崎小学校へ。そして姉崎中学校で学ばれたそうですね。
「父の転勤で幼稚園の時、姉崎へ来ました。今思えば、小学校の時に鼓笛隊にあこがれたのが、今の僕の始まりかもしれません。中学時代、音楽を指導してもらった恩師には、東京公演の度に訪ねていただいています。20年近く経っていますけれど『お互い昔と変わらないわねえ』なんて、もっともらしい事言ったりしてね。懐かしいですよ。中学校ではブラスバンドでサクソフォンを吹いていました。高校は幕張西に、大学もサクソフォン科に」
◆その後、声楽科に再入学されてソリストに。ミュージカルにはダンスもありますが。
「本当に大変だったんです。自分が足をあげて躍るなんて思ってもいませんでした。歌だけで舞台に上がろうと勝手に思いこんで、オーディションを受けたのですから。翌日からバレエのレッスンがありました。でも、人間追い込まれると何でも出来ちゃうものです。今では、ダンスも面白いジャンルだと思えて楽しんでます」
◆『異国の丘』は、シベリア抑留という戦争の悲劇がテーマですね。
「シベリア抑留という言葉は知っていましたが、内容についての知識はありませんでした。教科書には入りきらない史実です。ほんの50年前に、こんな悲劇があったんだ。その中で、こんな生き様をした男がいたんだというのを観ていただきたいと思います。テーマは重いですが、今の時代に失われてしまった、強い人間がたくさん登場してきます。戦争を語り継ぐという意味でも、子どもたちに観て欲しい作品です」
◆もっと身近なところで、観劇できたらと思います。
「劇場とマッチした作品で、市原での公演が実現したらいいと思っています。歌、芝居、踊りがあるミュージカルは、肩の力を抜いて気軽に楽しんでいただけるものだと思います。ライブの醍醐味も大きな魅力です。ぜひ、劇空間に足を運んでください」
「市原が僕を育ててくれた。機会があれば、昔遊んだ野山をまた自転車で走ってみたい」と、ふるさとの思い出を語る素顔の石丸さんは、とても気さくで温かった。 (国)