スハマソウ(州浜草)をご存じでしょうか。1月末から2月中頃、市内南部の森に入ると、アネモネに似た小さな純白の花を木陰に見つけることができます。千葉県南部では、ピンク色をした花も少しあるようですが、キンポウゲ科のミスミソウの仲間で、園芸では「雪割草」として知られています。霜の付いた枯れ葉の中から、白い清楚な花が顔をもたげる様に「もう春がそこまで来ているよ!」と、寒さに震える心も元気付けられます。
州浜とは、たい積した土砂で州が大きくなり、海岸線が丸く入り組んだ形になった美しい浜を指します。葉が、丸いながらも先が3枚に分かれ、州浜に似ていることから、この名が付けられたようです。そういえば、家紋の州浜も、スハマソウの葉の形によく似ています。
絶滅の恐れがある植物のリスト『千葉県レッドデータブック』によると、スハマソウは生息、生育環境が限られる「要保護生物」に選定されている貴重な野草です。ところが、美しい花の悲しさで、園芸目的の盗掘が絶えません。写真のスハマソウも撮影した翌年に、心ない人によって持ち去られてしまいました。このままでは自生のものは絶滅してしまうかもしれません。自然の中に咲く花は、みんなの貴重な財産です。あとに訪れる人、いえ未来の何百、何千という私たちの子や孫の喜びのために、そのままそっとしておきましょう。
文/ナチュラリストネット 森 将憲
|