春の野山では、今年もたくさんの新たな命が芽生えています。鳥のさえずり、花開く草花。昨年の春とくらべて、10年前の春とくらべてみて、どうでしょうか。卒業、入学、入社など、みなさんの記憶の中にある春の風景を想い起こしてみてください。思い出をたどったとき「あの頃はこんな花がいっぱい咲いていたなあ」「当時はこんな花なんてなかったよ」という自然の変化が見えてきませんか。自然環境の変化は地球温暖化ばかりでなく、都市化の進行、水質、大気の汚染も影響しています。
生物には様々な生息環境に適応できる種もあれば、特定の環境にのみ強く結びつく種も多くいます。清流にしか住めないサワガニ、少々汚れた水でも住めるゲンジボタル。汚い水でも住めるタニシ、下水の排水溝のように大変汚い水でも住めるエラミミズ(イトミミズの仲間)など。生物の存在や生息状況で環境の質や変化をはかる方法を「生物指標」といい、それに用いられる生物を「指標生物」といいます。
古くから人々は、サクラの開花や野鳥の渡りを見て農作物の播種の時期を判断したり、苗代に播く籾を水に浸ける頃に花を咲かせる野草をタネツケバナ(種漬花)と名付けるなどして、その土地の生物を環境変化の「ものさし」として利用していました。
その日に見かけた生物とその生息環境を結びつけて振り返ると、いつもとちがう想いに気づくかも知れません。
ナチュラリストネット/ 野坂伸一郎
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