早春の養老川河口へ行くと、アシハラガニやチゴガニたちの右往左往の出迎えに会いながら、直径2〜3センチ、淡紅紫色の花を付けたハマダイコンが目に入る。塩分を含んだ海浜や砂地、潮風の下で生育するので、海浜植物といわれる。ハマウド、コウボウシバ、ハマヒルガオ、アイアシと、夏まで順次咲き続ける。
砂地でも塩分が多い所では、シオクグ、ハママツナ、マツナ、ホソバノハマアカザなどの塩性植物が見られる。海浜植物と塩性植物を見た目で区別するのは難しいが、塩性植物は塩分濃度の高い砂地からでも水分を吸収できるように、細胞液中に高濃度の塩分を含んでいるので、葉を少し噛むと塩辛い。
市内河川の河口部や国道16号線東側を流れる運河などの淡水と海水が混じる汽水域を観察すると、ひっそり息づく海浜植物が見られたりする。関東地方では数十年前に絶滅したと思われた塩性植物のシバナが椎津川で発見されたのは、ゴミに埋もれた場所だった。
海岸が埋め立てられる前の浜辺では、ごくあたりまえに見られた海浜植物も、今では汽水域にわずかにあるだけ。とても貴重なものになっている。
3月に咲き始める植物は、4月には満開となる。普段目に付かない植物も容易に気付くようになる。数百年先、今ここで見られている植物が、自己再生し、浜辺一面に咲き誇る風景を思い巡らしたりする。そんな時、改めてこの場所を大切にしていきたいと思う。
文/ナチュラリストネット野坂伸一郎
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