こんなにも、愛しき財産『市原』 地元を愛し続け、未来へつなぐ~石黒修一さん~【市原市】

【写真】いちはらフィールドマップ巡り・市原にて

 

 市原市姉崎在住の石黒修一さん(76)は、『地域を知り・守り・愛する』というモットーを大切に、地元姉崎の歴史を深く追求し続けている。「このモットーは、私が会長を務める、ふるさと市原をつなぐ連絡会(ふるれん)の目指すところです。市原市は縄文時代から続く長い歴史と多種多様な歴史、文化や風習で形成されています。しかし、時代の流れでその文化を継承することが難しくなっています。だからこそ、市内に点在する歴史や文化を守る活動が点から線となり、市原全体をカバーできたらと思っているのです」と、意気込みを語る石黒さん。同会は平成30年9月に設立され、現在の会員は30名を超えている。各地域で活動する歴史研究有志が連携・情報交換しながら交流するネットワークは市内でも貴重な存在。令和4年に開館した市原の歴史博物館『I’museum(あいみゅーじあむ)』は博物館・体験館・フィールドミュージアムが3本柱となっており、同会はフィールドミュージアムのサポーターを担っている。

地元の歴史に興味を

石黒さん

 東京生まれの石黒さんは、埼玉県や神奈川県で過ごした後、40年前に市原市へ仕事の都合で移り住んだ。情報処理産業に就き、当時は業界特有の連日遅くまで仕事が続いた。三人の子供と妻が待つ家に帰らず、連夜カプセルホテルに泊まることもしばしば。そんな中、定年が近づいてくるのを機に、今後のライフワークに意識が向いた。「仕事ばかりで、長年住んだ地域のことをほとんど知らないと気づいたんです。地元に根付こうと、元々歴史が好きだったので、独自に調べ始めました」。平成12年に自身のホームページ『姉崎郷土資料館』を立ち上げ、地元の歴史や情報を調べては掲載を続けた。さらに、地域で横のつながりを作ろうと決意。「ただ、地元の輪に入り込むことは急にできないので、まずは様々な行事に参加して、地域の方とつながることから始めました」。様々な会合でお酒を酌み交わしていくうちに懇意になる人が生まれ、徐々に知り合いの輪が広がっていく。

 さらに、平成24年頃からは行事などをビデオに記録して配るようになった。その数、現在までに170本あり、地域の歴史を残す貴重な資料にもなっている。「一人で伝統的なしめ縄を作り、神社に奉納される方がいたのですが、後継者はいなかった。2年近く頼み込んで、やっと撮影させてもらったのですが、完成間近にその方が急逝されました。そのビデオを手本に地元の方々がしめ縄作りを学び、神社への奉納を継承できた」という他、「同じように、七夕や盆の飾りである『真菰(まこも)の馬』を作られていた方も撮影させていただいた後に、お亡くなりになりました。その後、その方の娘さんが馬作りを復活したいと話されたのを聞き、仲間で『真菰』探しから始め、ビデオを見ながら皆で作り、展示会をした」というほど。多くの団体で継承者の不足が課題で、継承する者がいなければ技術はそこで途絶えてしまう。もし復活しようとする者が現れても、それは簡単でない。だが、映像として残っていれば、受け継ぐことは可能になる。

 これらの活動がきっかけとなり、平成28年には『いちはら歴史のミュージアム事業基本計画懇話会』の委員を務め、令和4年11月から『市原歴史博物館協議会』委員にも就任した。

もっと地元のつながりを

「姉崎を知る会」での勉強会

 平成30年、ふるさと市原をつなぐ連絡会の設立にあたって、石黒さんは自身の在住する姉崎に特化した会を作ろうと決断。同年に『姉崎を知る会』も立ち上げた。現在は会員12名、多くが市民大学の歴史文化リエゾン(市民学芸員)コースで学んだ卒業生。フィールドマップの見方や文化財の取り扱いについてなどの知識やスキルを持っており、市原歴史博物館のフィールドマップガイドとして活躍している。毎月第4日曜日に行っている勉強会では、以前より石黒さんが集積した資料で郷土文化を学び、講師を招いたりして知識を深めている。「地元の歴史や文化を次世代につなぐ活動の主体は地元民です。地元を学び、情報を共有して相互支援を行いませんか」と話す、石黒さん。

 同会は、市内で『いちはらフィールドマップ巡り』を開催。上総国府説の光善寺や阿須波神社を巡る『市原コース』は、2月18日(日)開催(申込期限:15日まで)。9時から3時間、市原里づくりの会・山越国臣さんを講師・ガイドに迎えてゆっくりと現地を巡る。また、2月11日(日)と3月10日(日)は『姉崎コース』を開催する。11日には、姉崎神社や妙経寺を巡る約6キロのコース。翌月10日は、川崎稲荷や椎津城、姉崎小学校などを周る約10キロのコースとなる。同じく9時から3時間だが、申し込みは不要。

↑「市原ふるれんネット」はこちらから

 石黒さんは、最後に「『ふるれん』では、学術的に裏付けのないものや伝承、言い伝えなど様々な歴史や文化の情報を、どなたでも投稿できるサイト『市原ふるれんネット』を運営しています。また、来年度は『市原の三山講の今!』という調査もスタートさせます。共に情報を提供くださる方を探しています。ぜひ、ご連絡ください」と語った。フィールドマップへの参加他、詳細は問合せを。

 

問合せ:石黒さん Tel.090・3544・3728

mail:anesaki146@gmail.com

https://fururen.net

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