ふるさとビジター館 自然探訪~越冬するトンボ~

ホソミオツネントンボ(越冬中)

 

 日本では200種ほどのトンボが生息しているとされています。主に、春から秋に観察でき、身近な昆虫として人々に親しまれています。ほとんどのトンボは、冬が来る前に成虫としては息絶えてしまい、幼虫(ヤゴ)で越冬しますが、なかには成虫で越冬するトンボもいます。
 八重山諸島と小笠原地方を除く九州以北では、ホソミイトトンボ、ホソミオツネントンボ、オツネントンボの3種類のみが成虫のまま越冬することがわかっています。その内2種は、名前に「オツネン」とつけられていることで越冬するトンボとわかります。房総半島では3種の内、「ホソミ」とつく2種の越冬するトンボを観察することができます。
 変温動物ということもあり、寒い冬を乗り切るため、樹皮の裂け目、木のくぼみ、落ち葉の間、建物の隙間などにその細い身体を入れ、じっと動かずエネルギーの消耗を抑えて冬をしのぎます。♂♀とも全体が褐色をしており、じっとしていることで風景に同化し、天敵に見つけられにくくなっています。それでも、冬の晴れ間に日差しがあると、陽気に誘われて、ふらふらと弱々しく飛翔する姿を目にすることができます。越冬した個体は、やがてきれいな青色に変わり、繁殖します。
 春を待つフィールドで、越冬トンボを見つけてみましょう。くれぐれも杉花粉対策は忘れずに。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

 

◇ナチュラリストネット/自然を愛する仲間の集まりです。豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。 Tel.080・5183・9684(野坂)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  2. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  3. 【写真】第1回ドリームコンサートにて。2部では会場とステージが一体に &…
  4.  明けましておめでとうございます。2005年5月に「こでまりの夢」のコラムが始まって今年で20年になります。今回は第1回で掲載しました『か…
  5.  正月飾りの縁起物に赤い実のカラタチバナがある。これを探して冬の里山を散策した。数は少ないが一株見つかると近くに数株見つかった。11月頃か…
  6. 【写真】西本さん。大谷家具ギャラリー工芸館にて、展示作品と      大分県別府市在住の竹細工職人・西本有(たもつ)さんは、市…
  7.  富山県富山市。標高3000メートル級の北アルプス立山連峰や水深1000メートルの富山湾に囲まれ、人口約40万人の北陸地方を代表する主要都…
  8.  エイサーは沖縄全島と鹿児島県奄美大島に伝わる伝統芸能の一つ。旧盆の時期に祖先の霊を迎え、送り出すための演舞で太鼓や獅子なども使いながら踊…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る