前回、近い将来起こるであろう世界的な食糧問題について書きましたが、多くの学者は、私達が生き延びるには人間が何万年と育んできた古来からの農法こそが唯一の解決法である、と結論づけています。外国から家畜飼料を買って与えるのではエネルギーに無駄が生じます。その土地で餌の穀物や牧草を作り、出た糞を肥料として再利用し、全てを循環させる事が最も効率の良い方法であるのは間違いありません。

 今、世界の各地であらゆる試みが試されているようです。英国のある地方の村では独自の通貨を作り、その土地で生産された物を奨励する事によってエネルギーの効率化を図ろうとしています。またアメリカのある町では、道路脇や公共の建物の敷地内に果樹や野菜を植え、誰もが自由に取れるようにして市民の意識改革を促しています。さて、日本ではどうでしょうか?

 日本で教鞭を取った事のあるアメリカ人の大学教授は、日本の農業について警鐘を鳴らしています。「日本人の学生たちにこれからのグローバリズムに立ち向かうためには独創性やアイデアが如何に重要であるか説いて来ましたが、残念ながら私の努力は無駄に終わってしまいました。出る杭は打たれる方式の教育ではやる気のある学生が全く育たないのです。加えて欧米では農業は立派な化学の分野の1つと考えられていますが、日本ではそもそ
も農業は低く見られているようです」と著書の中で述べています。

 さて、このコースも終わりに近づいて来ました。ハーブの話から始まり、料理や野菜作り、ガーデニング、養蜂、自然の中での生活を通じて健康をテーマに記事を書いてきました。真の健康とは単に身体だけに留まらず、自然環境も含めて考えるべきと思ったからです。長い間読んで頂いた読者の皆様、編集部の方々、協力してくれた家族に感謝を述べながら、今回で筆を置きたいと思います。ありがとうございました。

 

◇長谷川良二。長柄町在住。ハーブコーディネーター、ガーデニングコーディネーター、歯科医師。市原を中心に公民館でのハーブの指導などをしながら自然栽培で野菜を育て、養鶏、養蜂にもトライ中。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  2. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  3. 【写真】第1回ドリームコンサートにて。2部では会場とステージが一体に &…
  4.  明けましておめでとうございます。2005年5月に「こでまりの夢」のコラムが始まって今年で20年になります。今回は第1回で掲載しました『か…
  5.  正月飾りの縁起物に赤い実のカラタチバナがある。これを探して冬の里山を散策した。数は少ないが一株見つかると近くに数株見つかった。11月頃か…
  6. 【写真】西本さん。大谷家具ギャラリー工芸館にて、展示作品と      大分県別府市在住の竹細工職人・西本有(たもつ)さんは、市…
  7.  富山県富山市。標高3000メートル級の北アルプス立山連峰や水深1000メートルの富山湾に囲まれ、人口約40万人の北陸地方を代表する主要都…
  8.  エイサーは沖縄全島と鹿児島県奄美大島に伝わる伝統芸能の一つ。旧盆の時期に祖先の霊を迎え、送り出すための演舞で太鼓や獅子なども使いながら踊…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る