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ふるさとビジター館 自然探訪~山の幸・クリ~
- 2024/10/3
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- ふるさとビジター館
秋の里山では、山の幸クリの殻斗(いが)の棘が茶色く変わり始め目立つようになる。葉が覆い茂っている林では見分けにくい。花が咲く6月と殻斗が割れる時期に上方を仰ぎ見るとすぐ見つけることができる。
ブナ科クリ属の落葉高木、高さは17メートルになり、雌雄同株、別名はシバグリ。葉は互生、長さ7~14センチ、幅4センチぐらいの長楕円形、薄い革質。葉の先端は尖り、葉のふちの鋸歯の先端は針状、濃緑色で光沢がある。
新枝の葉の脇から伸びた尾状花序の基部に雌花、その先が雄花の花穂(かすい)になる。虫媒花なので受粉を媒介させる昆虫を誘引するために強い香りを発散する。雌花は総苞の中に3個入っている。緑色で大きさ3ミリの総苞は、やがて外面に1センチの棘が密生して殻斗になる。その中で実が緑色から茶色に成熟すると、堅果(けんか)という実になる。
クリは縄文時代の遺跡の中から出土したこともあり、甘い実は食用に、耐久性のある材は建物、彫刻、民芸品などに、タンニンを含む葉・殻斗・樹皮は薬用にと古くから親しまれた。山の幸といわれる所以だろう。
(ナチュラリストネット/野坂伸一郎)
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