ふるさとビジター館 自然探訪~越冬南限のコハクチョウ~

 冬の使者と呼ばれるハクチョウ。シベリアなどから北海道を経由し、冬鳥として日本へ広く渡って来る。近年、地球温暖化の影響で、繁殖期と越冬期が暖かく、繁殖率が高まり死亡率が下がったのを要因に、増加していると言われている。
 オオハクチョウとコハクチョウに大別され、千葉県内で越冬する個体は、多くがコハクチョウである。嘴の黄色い部分が大きく、先端側が鋭角になっているオオハクチョウに対し、コハクチョウは黄色い部分がくちばし先端側で丸くなっていることで、容易に識別ができる。
 千葉県の越冬地として県北部の印西市本埜地区、東庄町夏目地区が有名だが、南部のいすみ市布施地区にも毎年11月に飛来し、多い時には160羽を数える。太平洋側の南限とされ、いすみ市も保護に努めていると聞く。夜間は、天敵から身を守るため近隣のダムやため池で過ごし、日中は水田地帯に移動、稲の落ち籾や二番穂、水田に生える雑草などを食べて過ごしている。家族単位で小群を形成し、いくつか塊って大きな群れを作る。中には灰色の若鳥、いわゆる「みにくいアヒルの子」が数羽混じっており、親鳥がやさしく見守っている様子を観察できる。
 今冬も、千葉県に飛来してくるであろうコハクチョウ。温かく見守りたいものである。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

 

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