ふるさとビジター館

フジの蔓は下から左に巻き上がる

 若葉に輝いていた森が青々してくると、そろそろ紫色のフジが見られるようになる。ひっそりと隠れるかのようにしていた野性のフジが一斉に咲きだす眺めは壮大だ。
 大きいものは1メートルも垂れ下がるという総状花序は上から順に花開く。高い木に絡みつき、張り出した枝先から見えるのはほんの一部分。木の陰に隠れたところにもたくさん垂れ下がっている。
 フジ(藤:別名ノダフジ)はマメ科の木本でマメ亜科フジ属。花は長さ2センチほどの蝶形花。蜜のありかを教える蜜標という黄色のマークがある。虫たちをおびきよせ、受粉の手伝いをさせる虫媒花。花の近くに寄れば、ブンブン飛び回る羽音が聞こえる。やがてソラマメのサヤを平たくしたような豆果がぶら下がる。
 西日本には総状花序が20センチのヤマフジ(山藤:別名ノフジ)がある。よく似るが、簡単な見分け方は蔓の巻き上がり方。下から左に巻き上がるのがフジで、右に巻き上がるのがヤマフジ。例えばねじの場合、尖った方を上に太い方を下にすると、溝は下から右に巻き上がる。紅葉が始まる頃、フジのサヤの下を歩くと上の方でパチとかパキという音が聞こえることがある。サヤが爆ぜて種子を飛ばす音だ。
 フジは藤〇、〇藤など苗字や地名に付けられるほど古くから親しまれている。遠くの山に当たり前のようにフジの花が見られるのは、市原の自然が万葉の昔から豊かな証。大切にしていきたい。

ナチュラリストネット/野坂伸一郎


Warning: Attempt to read property "show_author" on bool in /home/clshop/cl-shop.com/public_html/wp-content/themes/opinion_190122/single.php on line 84

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…
  2.  昭和を代表するスター「石原裕次郎」は今年、生誕90年。映画やドラマで大活躍し、歌手としてもヒット曲多数。誰からも愛された「裕ちゃん」の魅…
  3.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月5日(木)~6月10日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける…
  4.  今年は小湊鐵道開業100周年。これを記念し、アートによる地域づくりの拠点である市原湖畔美術館は、小湊鐵道とコラボプロジェクトを進行中。小…
  5.  成田山公園で毎年行われる冬のイベント「成田の梅まつり」。会場は成田山新勝寺大本堂の奥、16万5000平方メートルもの広大な公園。四季折々…
  6. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…
  7.     ◆一席 記念日を遅れて祝い根にもたれ  一宮町 黒猫胡桃     ・老プランあまく見積り火の車  茂原市 道譯賢…
  8. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  9. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る