いちはら音楽世界巡りを企画 天性の明るさと華やかさを持つ
- 2014/6/6
- 市原版

キーボード奏者 本間 樺代子さん
「お嬢さん、今晩ここへあなたをお迎えできたことは私どもにとって誇らしいことであり、喜ばしいことです」とボーカル竹中悠真(ゆうま)さんによるミュージカル『美女と野獣』の挿入歌『おもてなし』で始まったコンサート『いちはら音楽世界巡り』。5月4日、中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックスの会場旧里見小学校体育館に集まった106人は音楽でイタリア、アルゼンチン、アイルランドなどを巡り、ジャズ風にアレンジされた東北民謡『リンゴ追分け』で日本に到着。元NHKアナウンサー中尾香さんの朗読で東日本大震災のときに津波を経験した小学生の手記『希望の光』を聞いたあと、全員で震災復興支援ソング『花は咲く』を歌った。
アート×ミックスで唯一音楽部門のワークショップとコンサートを企画したのは市原市ちはら台在住の本間樺代子さん。「友人から聞き芸術祭が何かもよくわからず応募したのです」と軽やかに笑う。選ばれてからは生業であるライブを休み、出演者の選出からプログラム、編曲、舞台演出や衣装まで考え総合プロデューサーとして指揮に当たった。手探りで始めたイベントなのに手を貸してくれたのは実力ある出演者たち。本間さんがキーボードを担当し、バイオリン(渡辺美貴さん)、フルートと篠笛(大澤貴子さん)、トランペット(牧原正洋さん)、和太鼓(TAKERUさん)、パーカッション(石川武さん)、マリンバ(五十嵐洋平さん)と異色の組み合わせの演奏会が実現した。出演者たちがアイデアを出してくれたワークショップも好評だった。
演奏、コンサート企画演出、編曲、音楽教室が本間さんのお仕事。企画は「お客様がチケットを買ったときから帰るまでがコンサート」と一方通行にならないようにプログラムにストーリー性をもたせ心を込め構成していく。「音楽は手で触れられないし、見ることもできません。その場で時とともに流れてしまうもの。本番はリハーサルにはない気の流れというか、体で感じる何かが生まれます。それをお客様と演奏者がお互いにやりとりし、一体感が出たときの高揚した気分は最高です」と微笑む。講師対象のアレンジコンペで全国1位になった経験を生かした合唱や器楽曲の編曲は定評があり、音楽教室では生徒をコンクールで全国優勝や入賞に導いている。
祖父は政財界に知り合いの多い実業家だったという。人前に立ち表現する喜びを知ったのは「3歳の時に連れて行ってもらった料亭で着物をはおり芸妓さんの前で踊ったのが原点」。財産は残せないけれど教育は与えるという家庭の方針で、子どものころから芸術家の母に三越劇場や帝国劇場、国立美術館や博物館へ連れて行かれた。幼稚園から親しんでいたバレエ、電子オルガンに加え、小学校高学年のころはバスケット、バトントワリング、英語を習い、学校ではリレーの選手にも選ばれた。あまりの忙しさに過労で倒れたとき、「どれかを辞めなさいといわれ学校を辞めると答えたそうです」と天真爛漫だった子ども時代を楽しそうに語る。ピアノを習い始めたのは中学生になってから。バレエ学校からスカウトマンがきたこともあるそうだ。食物からファッションに至るまで本物に囲まれて育ち、大学で専攻した建築で空間を把握する力を培った。「丁寧に造られた美しいものと、きれいでも心が通っていないものがわかるようになりました」。会社役員の秘書をした時期もある。
品川区から市原市に引っ越してきたのは7年前。1カ月しないうちに市民活動団体『サウンドいちはら』の代表カフェ『キャリオカ』のオーナーと知り合い、サンプラザ市原のライブに出演することに。ほかにも大網白里市の『カフェリズム』でポップスや唱歌を皆で歌うランチ付の歌カフェ(毎月第4金曜日)を開き、市原市のカフェや千葉みなとのジャズバーに出演。千葉県文化会館コルツァホール、市川市にある登録有形文化財西洋館倶楽部でも企画コンサートを続ける。
「底が抜けている」と人から言われるほど明るい。楽しいことを思いついたら周囲も巻き込んですぐに実行してしまう。東日本大震災が起きたときにはいち早くチャリティコンサートを開き支援してきた。映画『ドラえもん』をみて涙したと『樺代子の音楽ブログ』に綴る。音楽でやりたいことは聞くと「生きる力とか幸せを与えるという大げさなものではなく、人の心を温めたいということかしら。心に灯をともす感じ。でも自分が楽しんでいるのです」とまた笑った。
問合せ ミュージアム ロフト(本間さん)
TEL 090・8346・4021
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