咲き誇る桜並木を育てた功労者 『桜さんさん会』の現状と未来

 寒くなってくると待ち遠しいのは春。近年、養老川沿いに多くの桜が咲き誇っているのをどれほどの人が眺めていることだろう。植樹したのは『桜さんさん会』。代表の河内昌蔵(こうちしょうぞう)さんは、「結成は平成17年2月。市原市総合計画内の市民まちづくり事業の提案書としてまとめられた『養老川周辺の桜の植樹事業』の実施団体として設立されました」と話す。現在までに植樹された地域は大坪・相川・山田・二日市場など4地区で合計2km以上の広範囲に渡り、本数は200本弱に及ぶ。「桜の寿命は60年といわれています。苗木を植えていますが2、3年で少し花をつけ、10年経つと大分大きくなる。30年後に満開になることを想定すると10m間隔に植えるのが最適」だという。活動が始まって10年を迎え、努力は景勝地として形となって表れている。平成24年に環境省 水・大気環境局長賞、翌25年には農林水産大臣賞、同年に市政50周年記念市長賞を受賞した。
 実施開始当初は土地の整備が全くされておらず、竹やぶや雑草で荒れ放題だった。すべてを綺麗にするのに2、3年を要した。「現在も地区ごとに毎月草刈りの定例日を設けています。土に残留するので除草剤は撒けません。草刈り以外にもゴミ拾いや枝切り、消毒も行わなければなりません」と話す河内さんは、『桜さんさん会』の活動の魅力を「一緒に苦労することで仲が深まり、理解を超越した大事な人間関係が築けました。また、草花は1年ごとに枯れていきますが、桜は長く残ってくれるので遣り甲斐があります」と続けた。だが、課題もある。平均年齢が68歳と高齢で、団体として継続していくための後継者が不足しているのだ。当初計画していた範囲の植樹は終えたものの、管理をしていかなければならない。また、ボランティア団体として市から助成金を得られる期間は10年と決められている。河内さんは大きく育った桜の木を見上げながら、「今年から助成金を打ち切られてしまい困っています。ボランティア団体で環境美化活動をするのはとてもしんどいことです。粘り強く根性のある人でなければ続けていけません。活動の開始時期だけで期限を設けず、せっかく作り上げた景観を守っていくために行政からの支援策が切実に求められています」と問題を提起。
 そんな中でも、現在は桜と桜の間に芸術的オブジェを設置する事業も進行中だ。すでにベンチやオブジェが置かれた地区も多く、暖かい季節にはお弁当を食べて楽しめるだろう。「この活動を始めるまでは、花が咲いていると『綺麗だね』で終わっていましたが、今は『ここまで育てるのに大変だっただろうな』と関わった人たちの苦労が見えるようになりました」と笑う河内さん。同会は随時会員募集中。

問合せ 河内さん
TEL 090-2223-0268


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