雑木林のヤマツツジ
 
 雑木林にヤマツツジの朱色の花が見られる季節になってきた。木々がまばらな所や外に張り出した枝の花は遠くからでもよく目立つ。木陰の奥をよく見ると、まだ人目に付かぬたくさんの花が覗ける。周りの木々に埋もれた中にも朱色が鮮やかだ。通り過ぎる車や離れた所から見える株の10倍を超える数がありそうだ。花の重みで細い枝が崖から垂れ下がる姿は、盆栽の懸崖作りを凌駕する。
 ツツジ科ツツジ属の半常緑低木ヤマツツジの樹高は1~3メートル。春に生える春葉の長さは3~5センチ、先がとがる楕円形、秋に落葉する。夏から秋に生える夏葉の長さは1~2センチ、先が丸いさじ形、その多くは越冬する。細い枝の先に大きさ5センチぐらいで漏斗形の花が2~3個付く。
 この時季、春に目覚めた生き物たちの繁殖が盛んになる。虫たちは、花の蜜や草木の樹液を求めてブンブン飛び交う。雑木林に集まるたくさんの種類の虫は、蜜や樹液を供給する植物に恵まれている。ヤマツツジのほかにも白や青や赤い花が、その存在を主張しあって咲き誇る。
 植生の多様性がそこに集まる虫たちの多様性に結びつき、虫を餌にする野鳥や小動物の多様性につながる。たくさんの生き物たちの糞や死骸が微生物に分解され、雑木林の肥料になる。雑木林が多い市原では生物多様性の生態系が活発になる季節でもある。
 ヤマツツジの花から地域の生態系がイメージできる。雑木林に恵まれる市原の自然が豊かな訳だ。
ナチュラリストネット/野坂伸一郎


Warning: Attempt to read property "show_author" on bool in /home/clshop/cl-shop.com/public_html/wp-content/themes/opinion_190122/single.php on line 84

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  昭和を代表するスター「石原裕次郎」は今年、生誕90年。映画やドラマで大活躍し、歌手としてもヒット曲多数。誰からも愛された「裕ちゃん」の魅…
  2.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月5日(木)~6月10日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける…
  3.  今年は小湊鐵道開業100周年。これを記念し、アートによる地域づくりの拠点である市原湖畔美術館は、小湊鐵道とコラボプロジェクトを進行中。小…
  4.  成田山公園で毎年行われる冬のイベント「成田の梅まつり」。会場は成田山新勝寺大本堂の奥、16万5000平方メートルもの広大な公園。四季折々…
  5. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…
  6.     ◆一席 記念日を遅れて祝い根にもたれ  一宮町 黒猫胡桃     ・老プランあまく見積り火の車  茂原市 道譯賢…
  7. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…
  8. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  9. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る