春の散歩、地元の史跡を訪ねて

 市原市内の文化財、神社、寺、古道などを巡る有秋公民館の主催講座『有秋散歩』(全6回)。第1回目は4月8日、『薬王寺薬師如来御開帳と大俵桜・小鷹神社を巡る』でスタートした。講師は小関勇次さんほか『鎌倉街道を歩く会』の皆さん。「隠れた史跡を探すなど、学びながら歩きましょう」との声かけで約30名の参加者は元気よく出発。桜と菜の花に見守られながら気持ちのよい往復約6㎝のコースを2時間かけて歩いた。
 最初に訪ねたのは県道144号線沿い、不入斗にある薬王寺への入り口に立つ『浮彫六地蔵石幢』。六角柱の各面に6躯の地蔵菩薩を浮き彫りにしたもので、六道輪廻から衆生を救済するとされている。「鎌倉街道の要所に見られる。144号線も鎌倉街道の枝道につながっています」と小関さん。
 薬王寺では年に一度の御開帳、優しい表情をした『木造薬師如来坐像』を拝んだ。檀家によって振る舞われた甘酒を桜の木の下で飲み、「名残惜しいわね」と言いながら同寺を後にした。田んぼ脇の道ではカエルの鳴き声、林道では小鳥のさえずりを聞きながら、今ではすっかり有名になった大俵の一本桜を目指して歩く。途中、出羽三山行の塚に立ち寄った。毎年11月、迎田行人が白装束で行列をつくり梵天供養に訪れているという。
 山道が開けたところで目に飛び込んできたのは、辺り一面の黄色い菜の花と大きな桜の木。「見事だね~」と参加者からは感嘆の声が。5年前に雑木林の中から桜を掘り出した谷垣敬次郎さんは「長い年月を生きてきた生命力と美しさを皆様に見ていただきたく、仲間とともに整備に勤しんでいます」と笑顔と甘酒で来訪者をもてなした。     
 さて、ここでちょっと珍しい石造物の紹介。同地の奥、大きなシイノキの右手前の脇道を進んでいくと、梅とウグイスが彫られた石造物が。花札を連想させるので「博打好きの住職さんが立てたんじゃないの?」などと推理を楽しむ皆さん。「1739年」、「原」という文字が見られるが、誰が何の目的で立てたかは不明。
 最後に、ヤマトタケルノミコトを祭神とする小鷹神社を参拝した。樹齢200年を越す巨木がならぶ参道は、かつて流鏑馬が行われていたとの言い伝えがある。
 のどかな地元の散歩道、有名な史跡のほか、ひっそりと佇む石造物もまだまだある。それぞれが刻んだ歴史に思いを馳せながら、歩いてみるのもいいのでは。


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