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房総往来
- 2016/11/18
- シティライフ掲載記事, 市原版

「チバニアン」への期待
山里 吾郎
『絶好の機会。ぜひ受講したい…』。「広報いちはら」に掲載された公民館行事が目に留まった。「田淵の逆転地層を学ぶ」。一度現地を、それにちょっとは詳しい知識を、と思っていた。申し込みが少し遅れたせいでキャンセル待ちとなったが、当日(10月14日)2日前に無事、参加OKの知らせが届いた▼集合場所の田淵会館、中高年の受講生を中心に約40人。聞けば3倍の申し込みだったという。最初に地質学者で県環境研究センター・風岡修氏が解説。磁場逆転の成り立ち、田淵の地層の学術的な価値などを勉強。このあと早速、現地見学へ向かった▼会館脇の細い坂道を7、800㍍も下っただろうか。最後の難所を降りると、ゆったりとした養老川の流れが待っていた。ここから上流へ20㍍余り。左側にそそり立つ「むき出しの崖(露頭)」が、地質学上の謎解明につながる田淵の磁場逆転地層▼約46億年の地球史では何度も南北の磁気が逆転。その最後の逆転期となる77万年前の地層で、裏付けとなる火山灰の存在など世界でも唯一、詳細な観察ができる地という▼露頭には下部から順に「逆転期の赤」「中間期の黄」「現代期の緑」と3色の杭。新生代・更新世にあたるこの年代の国際標準となる「模式地」は未定で、いわば地質学上の宿題。もし田淵の地層が選定されれば、「チバニアン」の名称とともに国際地質科学連合が「黄金の杭」を打ち込む▼後書き風にはなるが、地質学は地味だし何とも難しい。にわか仕込みではなかなか理解できない。だが、「チバニアン」誕生となったら、それこそ逆転的発想で「地域起こし」につなげられれば…と思う。