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歩いて笑って、歩いて参拝!まだまだあるよ、市原の文化財
- 2016/11/18
- シティライフ掲載記事, 市原版

10月16日(日)、戸田コミュニティセンター主催で行われた『十二座神楽の見学』。参加者29名の中には地元馬立周辺の上高根や光風台在住の人が多かったが、午前9時半にセンターを出発した際に聞かれたのは、「普段移動には車を使っているから大通りばかり。この道は初めて通ります」という声。
講師の米田耕之助さんは、経由する随所の寺で解説をする傍ら、不測の事態に備えて軽トラックで同行した。スタッフ6名を加えた参加者達は4班に分かれ、まず目指すは上高根にある稱禮寺。別所にある千葉県指定有形文化財の薬師如来坐像・両脇侍立像は平安時代につくられたとされ、3体そろって残されているのは県内でも非常に少なく価値あるもの。「現在は毎月第3日曜日に地元の方々が鍵をあけて解放しています。念仏を唱えたり、世間話をしているのでぜひいらしてみてはいかがですか」と米田さんが説明し、各々薬師如来像を覗き込んでは手を合わせ、写真に収める姿が見られた。
本堂では、住職から了承を得て参加者が鐘をついたり、敷地に咲く十月桜を眺めるなど終始和やかに行程が進む。そして、次に向かうは日光寺。聖観音は3.3mを超え、県下でも最大の大きさを誇る古像。長い間仮堂に安置され、その大きさゆえに一部しか拝観できない時期が続いたが、昭和45年に保存庫建設のため全容を確認したところ、人々は出来栄えの素晴らしさに驚嘆したといわれている。「物凄く昔に来たことがあり、当時隙間から観音様を覗いたのを覚えています。これからは散歩がてらちょくちょく訪れたいです」と参加者も笑顔を見せながら、聖観音に魅せられていた。
歩き続けて約2時間、小雨の降る瞬間があったものの、羽織っていた上着を脱いで半袖になるほど気温は上がっていく。日光寺脇の建屋で休憩に入ると、参加者たちは持参した弁当を思いおもいの場所で食べ始める。今までに訪れたお寺や自宅で採れた柚子で作る化粧水のことなど話題に事欠かず、初めて会った人でも同じ講座に参加するだけで、あっという間に打ち解けてしまう。
最後に訪れたのは、日光寺の坂を下った場所にある鶴峯八幡宮だ。例大祭で行われた十二座神楽は昭和39年に千葉県指定無形文化財に指定されている。この神楽は鎌倉八幡宮より伝えられ、おはやしも別名、鎌倉ばやしと呼ばれているとか。道中で聞こえた神楽の音に、「この音を聞くとどうしてか懐かしい気持ちになりますね」とはやる気持ちを抑えるように歩いたほど。到着すると皆一様に、次々と披露される猿田彦の舞、稲荷様の舞などを真剣に眺めていた。距離にして約8キロ、戸田周辺の文化財に心も体も満たされた日になったのではないだろうか。