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季節のスケッチ
- 2017/2/17
- シティライフ掲載記事, 市原版

俳画と文 松下佳紀
日本人は季節の推移や、それに伴う様々な自然現象を見る目はかなり敏感だ。それは四季という明確な区割りのある国に生まれ、ごく自然にその感受性を身につけたからだ▼明確な区割りといっても暦をめくれば、すぐ次の季節になるわけではない。季節は微妙な表情や色合いを見せながら移り変わってゆくのだが、それを発見し見定めることも多くの日本人のささやかな喜びとなっているのは確かだ▼とりわけ俳句は季節を基礎とした詩であるから、俳人はより鋭敏な感覚や観察眼を求められ、それを作品に投影させなければならない▼さて、二月は冬と春が綱引きをしている季節だ。寒暖の日々を繰り返しながら、やがて春は気づく。冬が別れの言葉も告げず立ち去っていたことに。