ふるさとビジター館 自然探訪~独特な鳴き声 ヒクイナ~

 顔から腹、足や目が鮮やかな赤色で、背が茶褐色の可愛らしい全長23㎝程の鳥。生息地は主に水田などの湿地、泥地。長い指で泥に脚をとられず自由に歩き、昆虫やミミズなど小動物を捕らえる。警戒心が強く、密生した植物の陰に潜むことが多いのでなかなか姿を確認できないが、「コッ、コッ、コッ…」と連続でアップテンポしながら、戸を叩くような独特の鳴き声で存在がわかる。フクロウと並び大河ドラマの夜の効果音として使われることもあり、耳にした方もいるだろう。市原市ゆかりの菅原孝標女 『更級日記』にも「たたくとも誰かくひなの暮れぬるに山路を深く尋ねては来む」と歌われており、昔からその鳴き声が人々に愛されてきたようだ。
 水田の住宅地等への転換や圃場(ほじょう)整備などの環境変化により、1990年代以降、著しく減少し準絶滅危惧種に指定された。しかしここ数年、増加しているのでとの報告がある。房総半島では、これまで夏鳥とされ冬季の観察例はほぼなかったが、夏季・冬季ともに観察例が増えている。私も作年冬季に、市原市、木更津市の10カ所近くで観察した。休耕田の増加で、適した生息環境が増え数が増加しているのではという説の一方、冬季の分布拡大は、地球温暖化に関係し、越冬個体が北上しているのではないかという見方がある。
 憶測の域を出ない議論となっているが、見守っていきたい。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

 

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