がんを憎んで、闘って、そして向き合って
- 2013/8/16
- 外房版

がんを憎んで、闘って、そして向き合って
婦人科系がん患者会『オレンジ・リーフ』
2013年4月、千葉県初の婦人科系がん患者会『オレンジ・リーフ』が設立された。婦人科系がんとは子宮・卵巣の細胞にできるがんで、『オレンジ・リーフ』はそのがんの体験者、及び家族や支援者を対象にした患者会である。元々は、静岡県熱海市を拠点に活動するNPO法人『オレンジティ』と千葉県がんセンターが共催で『出張おしゃべりルームin千葉』を2012年1月から約1年開催。「今後も継続的な活動を」という声を受け、おしゃべりルームの参加者であった5名がスタッフとして同会を立ち上げた。
南房総市在住で代表の鈴木敬子さん(56)は、「どうして自分ががんになったのか。事実を受け入れられず医師に質問を繰り返した。言いようのない不安に毎日襲われ、辿り着いたのが『おしゃべりルーム』。悩みを直接吐き出し、同じ症状だった方に「私もそうだった、でも大丈夫」と言われるだけで安心できた」と話す。『おしゃべりルーム』は毎月第4土曜日13時30分から16時まで千葉市ハーモニープラザで開催されている。プライバシーを守るために、話の内容を口外しないこと、メモや携帯電話の操作をしないことなど数点のルールがある。
「今は医療が進歩していることや患者の増加、厚生労働省の指導など様々な要因から、抗がん治療は入院ではなく通院がメインになっている。カーテンで区切られたベッドに一人で横たわり、誰と会話をすることもない」と話すのは卵管がんを患い、4度の手術を経験したスタッフの今井登世美さん(53)(市原市在住)。通院での治療には、普段の生活を保てるというメリットもある。しかし、心配は多い。家庭があれば、家事もこなさなければならない。抵抗力の弱っている身体で乗る交通機関はウィルスが蔓延している。もし病院以外で急な体調の変化があったならばどうしよう。今井さんは、「誰しもがんになれば不安になる。不安を解消しようと病気について本やインターネットで調べてみる。私の罹患した卵管がんは珍しい種類で情報が少なかった。少ない中を必死で調べるほど不安は増す。悪循環だった。おしゃべりルームに参加したのは、同じ病気を患う誰かに出会いたかったのだと思う」と続ける。
同じくスタッフの柴田敬子さん(58)(木更津市在住)も「おしゃべりルームは2部構成になっている。ため込んでいたものをそっと吐き出して、そのあと甘いお菓子とお茶で談笑する。どうしようもない想いを抱えて来た方が、リピーターとなり明るくなっていく姿を見ると私も嬉しくなる」と語る。「医師はがん細胞を取り除いてくれるが体験者ではない。精神的な問題は自分で解決するしかない。不安感からうつ気味になり心療内科に通うようになる方も多いという。薬よりも直接会った誰かに聞いてもらうことが必要」、「最初にルームに行った時、参加者の談笑が明るすぎて驚いた。決して慰め合うわけではない。私は、先を歩いているひとが元気でいることに勇気をもらった」と他スタッフも続ける。
現在も再発の可能性と闘う彼女たちだが、表情も会話のかけあいも穏やかで明るい。初めから強かったわけではない。絶望に襲われ苦しんだに違いない。それでも、彼女たちが誰かに支えられ、病気を受け入れることでさらに強くなったというのは、その笑顔を見れば明らかだろう。「ここでは病院名や医師の名前を出すなどの情報交換は行っていない。実質的な解決策にならないかもしれないが、苦しいときに苦しいと言える、そんなほっとする空間を作っていけたら」と鈴木さん達は切望する。
今まで30歳半ばから70歳を超えるまで幅広い年齢層の方が同ルームを訪れた。副作用として現れる、髪、まつげやまゆげなどの脱毛によるオシャレの問題なども話す。また、リンパ節を切除することで発症しやすくなるリンパ浮腫で悩む人も多い。術後すぐ発症する人もいれば、10年後に突然発症する人もいる。『オレンジ・リーフ』では年に数回、日本医療リンパドレナージ協会の専門家を招き、病気治療による悩みや不安の相談会も行っている。次回相談会は10月26日(土)。
問合せ オレンジ・リーフ事務局
TEL 070・6409・7188(15~19時)
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