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食と自然にこだわる暮らし
- 2015/5/29
- シティライフ掲載記事, 外房版

いまここ園
大多喜町の古民家に住み、自然農法で米や野菜を作り、環境に優しい暮らしをする山野邉暁(あきら)さん(37)、綾子さん(34)夫妻。味噌、しょう油は手作り、自家で賄えない食材はなるべく国産で安全な素材を選ぶ。1歳になる長女のおむつは布を使い、河川を汚さないよう、松の樹液100%の石鹸洗剤ひとつで食器、洗濯、お風呂までこなす。テレビはない。
暁さんは埼玉県出身の元システムエンジニア。ビルに囲まれた都会で機械と向き合う生活のなか、身体を動かす人間らしい生活がしたいと感じ、33歳のとき会社を辞めた。鴨川での有機無農薬による農業研修中に印旛郡出身の綾子さんと出会い、2012年、移住者支援に積極的な同町に家と農地を借り、結婚した。
農作物は自然の力を活かし無農薬無肥料で育てる。雑草は作物の成長を手助けする程度しか刈らない。手作業のため手間はかかるがなるべく人の手を加えない農法なので「収穫量は少なく、まだ試行錯誤中」だとか。収穫直前に猿に荒らされたり、保存していた種をネズミに食べられたりと予想外の出来事も起こる。けれども暁さんは「子どもの頃、祖父母の家に行って自然のなかで遊んだのが原点。今は毎日が夏休みのよう」と生き生きとした表情で語る。今ここで楽しく生きるという意味を込め、自分たちの生活の場を『いまここ園』と名付けた。
さらに「都市と農村の人たちの交流の場を設けたい」と川遊び、田植え、味噌作りなどの自然体験イベントを毎月第3土曜日に開く。3月の参加者は、休日に野菜作りをする千葉市の会社員や木更津在住の親子ほか総勢10名。ビワとフキの葉を庭から採集し、薪で焚いた鍋で煮出し布を染める草木染と、着色料を使わず黒米で自然な色をつけた太巻き寿司作りを行った。子どもたちは木に登って葉を取ったり、のこぎりで薪を切ったりと元気にお手伝い。配色に工夫をこらした太巻きも作った。大人たちは童心にかえり嬉々として作業をしながら「籾摺りは野球ボールとすり鉢でできる」、「スギ茶は花粉症に効く」など田舎暮らしを話題に楽しくおしゃべり。午後は綾子さん手作りの身体に優しい素材を使ったクッキーと暁さんが焙煎したコーヒーで一服した。イベントはリピーターが多く、参加者同士のつながりも広がる。同じ地域の移住者が知り合い、小学生は文通をはじめた。ご近所も手伝いに来てくれたり、子どもの面倒をみてくれたりと温かい。イベントで餅つきしたときは「参加者より地元の住人のほうが盛り上がった」という。
山野邉さん夫妻は「納屋を改装して加工所を作り、焼き菓子販売や地域のイベントへの出店をはじめた。これからも美味しく安全な食べ物を作り、この幸せな暮らしを分かち合いたい」と夢を膨らませる。
問合せ いまここ園
TEL 0470・83・0088
メール :imakokoen@gmail.com
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