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【御宿町】捨て猫だった桃太の大きな役割
- 2019/1/25
- シティライフ掲載記事, 外房版
- 外房

御宿町には3カ所の駐在所がある。駐在所とは警察官が家族と住み、受持区域の業務を行う所で、駐在員がパトロールなどで不在な時は、妻が電話番や拾得物の受付などを行う事になっている。ここ御宿海岸駐在所でも3年前から小林拓昭(ひろあき)巡査部長は妻、言依(ことえ)さん(30)、10カ月になる奏太(かなた)君、サバトラ柄の猫『桃太』と生活しながら業務を行っている。
桃太は2年前、いすみ警察署に保護された5匹の子猫の1匹。「手に乗るくらいな小さな猫でしたが、私を見るとゴロンとお腹を見せたのが可愛くて引き取ることにしました。弱っていたので、太く逞しく元気に、また桃のように可愛くなれと桃太と命名しました。その後、健康で穏やかな性格の猫になったので、桃太にあやかり、長男の名前にも太の漢字を使いました」。桃太は最初、ソファーの後ろに隠れるくらい臆病だったが、4日ほどして小林さんの膝の上に乗ってきた。その後はずっと小林さんのそばから離れず、日中は駐在所の机で過ごすようになった。 桃太の役割は駐在所に訪ねて来る人を鳴きながら歓迎することだが、「ちょっと危ない人」には鳴き方が変わるという。小林さんは職業柄、人をよく観察し職務中は用心を怠たらないが、訪問者が駐在所の敷地内に入り、ドアを開ける前に桃太は「何か」を感じるようで、その態度から意識を高めることが幾度もあったという。また事故や事件に巻き込まれた人が興奮していても、桃太を見て落ち着きを取り戻し、事情を聞きやすくなったこともあるという。一種のアニマルセラピー的な存在を担っているのかもしれないと小林さんは語る。
御宿町は町民の約半数が65歳以上で、一人暮らしの人も多い。特殊詐欺の被害を防ぐためにも小林さんは戸別訪問などを行っているが、桃太が駐在所にいるようになって、確実に訪問者が増え、その殆どが高齢者だという。「第一は桃太に会う目的ですが、リラックスした中で雑談し、なにか問題があれば相談してくれますし、こちらも犯罪に関する話やチラシなども渡すことが出来ています。桃太のおかげで地域の人との交流も盛んになり、私も『駐在さん』と呼ばれ、とてもやりがいを感じています」
桃太の役割が大きくなったこともあり、妻の言依さんは猫用の警察官の帽子を購入した。それにゴム紐をつけ頭に乗せても、桃太は嫌がる様子もなく毎日の「職務」を全うしているようだ。
また桃太のいる机には『動物の遺棄や虐待は犯罪です』というポスターが貼られている。動物をみだらに殺し又は傷つけた者は2年以下の懲役、200万円以下の罰金が課せられる事を知らせるものだが、桃太が動物愛護の啓発にも大いに貢献しているのは間違いなさそうだ。
問合せ 御宿海岸派出所:御宿町六軒町488番地30
TEL 0470・68・2719