森と戯れるまつり

 森とアート、森と音楽、森と着物。森は様々なものとうまく溶け合う。『心の制限を外し、森の中で感じるままに喜びと驚きに興じる。自然体の自分で主体的に遊ぼう』をコンセプトに、5月10日、市原市鶴舞にある西山公園でスタジオユカリウム主催の『西森森山まつり』が開かれた。
 竹で作る民俗楽器、流木で鉛筆を作るワークショップやエスニック調の雑貨店などが1本の林道脇に並んだ。入り口では民俗楽器の音が鳴り響き、子どもたちは巨大シャボン玉やハンモックに夢中。林道を抜けたつき当たりの広場では精霊が宿っていそうな杉の巨木がまつりの光景を見下ろしている。森と戯れるには絶好のロケーション。
 西アフリカ、ガンビア共和国の太鼓を叩く『アニチェ』の練り歩きでライブは幕を開けた。そして『ウォンガイボーイズ』による、やはり西アフリカの打楽器の演奏をバックに2人の女性がダイナミックな民俗踊りを披露。独特の熱いリズムと音が体に伝わり、舞台はアフリカ原住民の森と化した。かと思うと、着物姿の『鶴舞小唄』の皆さんの登場でステージの雰囲気は一転。地元小学校の運動会などで馴染みの踊りとあって、三味線の音に合わせ大人も子どもも輪になって鶴舞踊りに参加した。続いて『Aki Blake(アキ ブレイク)& Kaori』の戦前ブルース。マイクなしのボーカルとアコースティックギターの音がそよ風に乗って心地よく響いた。
 最後は市内在住のアーティスト、ユカリウムさん演出の音舞台『精霊の夜vol.10』。緑と赤の市松模様をあしらった帽子をかぶって白い布をまとい、時に激しく、時に静かに舞うユカリウムさん、アコーディオンを弾くシンイチさん、太鼓を叩くコースケさんとダンサーのヒアスさんが演じるのは『種の精霊』。様々な種が出会い、広がり、そして芽吹く様を音と動きのみで表現した。不思議な雰囲気に包まれつつ、最後には会場のみんなと一体化し、何か温かいものが心に残るパフォーマンスだった。
「舞台の東にある杉の巨木、西南北に配置した自作の木の彫刻、竹と草花で作った緞帳と森全体が舞台のセット。普段は見えないけれど見たいと思えば見えてくるもの、それが森に潜む精霊です」とユカリウムさん。「地元に住んでいるけれど、こんな素敵な森があるなんて知りませんでした」との声が多く聞かれた。森の中ではゆったりとした時間が流れ、大人も子どもも思い思いにまつりを楽しんだ。

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