波乱万丈…里見氏  山里 吾郎

「〽雁鳴き渡る荒涼の…」。旧制安房中(現安房高)の旧校歌は、こんな歌い出しで始まる。明治34年創立という伝統校を偲ばせる75調の歌詞は「〽里見の城を照らす月」と続く。かく言う私も卒業生の一員、館山市立博物館で開催中の「里見氏の遺産」を訪ねた▼戦国大名として数奇の運命をたどった里見氏。城山公園に位置する博物館・本館では史実に基づく里見氏と館山発展の歴史、分館の館山城では江戸期に書かれた曲亭(滝沢)馬琴の長編小説「南総里見八犬伝」の資料が展示されている▼里見氏は元々、群馬県榛名町の出。関東の名門、新田氏の傍流で平安末期、源頼朝の挙兵に従ったが、鎌倉幕府の衰退とともに一旦は歴史の表舞台から姿を消す。しかし15世紀半ば戦国大名として里見義実が安房に上陸、群雄していた豪族を次々と倒し、わずか5年で安房を平定。ここから南総里見氏の新たな歴史が始まる▼その後も内乱を繰り返しながら勢力を伸ばした里見氏は上総、下総を窺いながら東京湾の制海権をめぐり対岸の小田原・北条氏とも40年にわたって抗争。この戦国期に湊町・館山は開発され海の要衝として今日の礎が築かれたという▼ただ里見氏は10代忠義の時に徳川幕府から伯耆国倉吉(鳥取県)への国替を命じられ滅亡。憂悶のうちに没した主君忠義に従い殉死した8遺臣が小説・里見八犬伝のモデルと伝えられている▼忽然と安房の国に現れ、僅か180年で没した里見氏。その波乱万丈の盛衰は、八犬伝以上の壮大な戦国ドラマを垣間見せてくれた。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  コロナ禍で中止していた観音寺(鴨川市)の『ひなまつり』が3年ぶりに開催される。慶応元年(1865年)、現在の鴨川市に生まれ日本のためにと自…
  2. 【写真】(前列左から)会長・後藤さん、講師・片岡さん、     (後列左から)会員の常盤さん、後藤さん、市原さん、中村さん …
  3. 【写真】工房の庭にて。小原さん(左)、齊藤さん  睦沢町下之郷に2人の陶芸家が住んでいる。『夢楽工房』を共同で主宰する齊藤…
  4.  寒い冬の真っ只中、皆さんはどうお過ごしでしょうか?家にこもりがちで、外に出ない方も多いかもしれません。こんな時こそ、ウインタースポーツとし…
  5.  秋晴れのなかの11月6日、茂原公園の広場をスタートに『第19回千葉県ウォークラリー大会茂原会場』が開催された。毎年開かれているこの大会も、…
  6.  ツグミという野鳥をご存じの方も多いだろう。体長23~25㎝、白い眉斑で、頭から背面は黒褐色。羽が茶褐色で、胸から腹にかけてはうろこ状の黒い…
  7.  小湊鐵道光風台駅から、西方に歩いて15分程にある鶴峯八幡宮。鎌倉時代・建治3年(1277)に本宮大分県の宇佐八幡宮より御分霊を戴き、お祀り…
  8.  昨年も、『こでまりの夢』をお読みいただきありがとうございました。昨年は17年間のコラムをまとめ、出版することが出来ました。これもひとえに、…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  コロナ禍で中止していた観音寺(鴨川市)の『ひなまつり』が3年ぶりに開催される。慶応元年(1865年)、現在の鴨川市に生まれ日本のためにと自…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る