身近な古墳の実態を探る

身近な古墳の実態を探る

 4世紀後葉から7世紀の日本は百済・加羅と軍事同盟を結び、何度も百済の援軍として新羅・高句麗と戦ってきた。その結果、鉄、馬、須恵器など様々な物品や技術が伝来。朝鮮半島とつき合い続けてきた大王たちの古墳と市原市内の古墳を対比させ、王稜の実態を考えようという講座『王賜銘鉄剣と姉崎古墳群』が10月12日、埋蔵文化財調査センターで行われた。
 講師は同センター主査の木對和紀さん。古墳から出土した遺物などから年代、出来事、古墳の主を推定していく。現韓国にある百済武寧王の木棺には日本産コウヤマキが材料として使われており、奈良県の藤ノ木古墳からは武寧王の冠とよく似た冠が出土。百済との関係が親密であったことが窺える。王賜銘鉄剣が発見された市内稲荷台1号墳は副葬の武具が目立つことから被葬者は武人として王に献身したと考えられる。
 また、市内最大の姉崎天神山古墳は全長130メートルもあるということや姉崎二子塚古墳からは朝鮮半島から伝来した銀製垂飾耳環などの格式高い装飾品が、さらに上総山王山古墳でも武寧王の太刀と酷似の金銀装単龍式環頭太刀が出土しており、身分の高い人物が埋葬されたことが推測される。古墳時代終末期の天皇系大王の古墳が八角墳なのに対し蘇我氏系大王の古墳は方墳が主流だったという。その中で市内六孫王原古墳は全国的にも稀な前方後方墳。反蘇我系の国造墳墓という考え方もできるとか。 
「市原市内、周辺には数多くの古墳があり、権威を示す高貴な遺物品が出土していることを是非知っていてもらいたい」と木對さん。「身近にある古墳と他県の古墳との関連がわかった。面白くて目が輝きました」と参加者。


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