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人を理解し大切にしながら、一緒にこの町で生きていこう~市原市人権・男女共同参画フォーラム~【市原市】
- 2025/1/23
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【写真】講演する家田さん
昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男女共同参画社会とは、性別に関わらず、互いに認め合い、自分らしくいきいきと活躍できる社会のこと。現在、さらにグローバル・多様化している日本で、それぞれがどのような意識で生きていけばいいのか、問われる機会も多いことだろう。本フォーラムは、そんな『人権・男女共同参画』をテーマに作家である家田荘子さんの講演会、そして小中学生人権ポスター表彰・中学生人権作文発表が行われた。冒頭、市原市長・小出譲治さんは、「まちづくりを進める上で、多様性・包摂性・持続可能性を尊重した一人一人の幸せが重要です。誰もが尊重され、その個性を発揮し活躍できるまちづくりに取り組んでまいります。みなさんもこのフォーラムを通じて、理解を深めていきましょう」と話した。
誰が守られるべきか
ノンフィクション作家として知られる家田荘子さん。講演会は、「私が、光の当たらない世界を書き続けてきた理由は、子供時代にあります。銀行員だった父は暴力と暴言が酷く、未だに怒鳴ります。私は小学生の時にいじめを受けたのですが、母は決して庇ってくれず、いじめられる方が悪いという人でした」と、家田さんが赤裸々に自身の経験を語るところからスタート。小学校5年生の頃、周囲に押し付けられるように出馬した生徒会選挙。クラスメイトの応援活動は一切なく、それでも書道家の母が書いたポスターを貼り、母が書いた文章を丸暗記して演説した。努力の甲斐あって、見事当選を果たした直後。女子生徒たちが選挙違反をしていると抗議し始めた。教員が調査をすると、一部の女子生徒が文房具という小道具を使ってまで、周囲に投票を依頼していたことが発覚。だが、それは決して心からの応援ではなく、人を落としこもうとする計画的な策略だった。

家田荘子さん
「そこは、人が人を気にして生きていく町。よく言えば、近所同士が助け合う。悪く言えば、町の人が人生を評価し、少しでも違うことをすると悪口を言われるのです」と、家田さんは回想し、「母は、私を庇うことなく、町で生きにくくなるからすべて黙っているよう突き放された」と、続けた。小学校6年生の時も、同級生から命を否定されるような暴言を吐かれることがあったが、「『今が一番つらい』という逆転の発想で、地獄のような時間を乗り越えた」という。中学校にあがると、いじめはなくなった。しかし、「当時の経験を、未だに背負っています。相手を傷つけるつもりはなくても、言っている可能性はある。暴力には、5つの種類があります。1つ目は力、2つ目は言葉、3つ目は性的な暴力。4つ目に、経済的な暴力、最後に行動を制限するような社会的暴力です。家庭内で行われるこれらは、見えにくく周囲が気づかないことが多いです。でも、暴力を受けていい人なんていない!」と、強調する。
辛い記憶がある場所は、それが故郷であっても足が遠のいてしまう。「この街から、虐める大人も子供も出してはいけません。帰ってきたい街にするためにも、人権侵害をする人のいない街にしましょう」と、家田さんは訴えた。被害を受けている人に気づくために大切なのは、まず『挨拶』をすること。あざがあったり、おかしいと思ったりしたら声をかけ、時には通報する勇気も必要だ。市原市には、人権を守る機関が多く存在する。「市の広報誌を見て情報共有しましょう。市役所に相談して、相手にばれると心配する方も多いですが、大丈夫です。安心して利用して欲しいです」と、声を上げた。
また、アメリカ人男性と結婚し、海外の居住経験もある家田さん。当時、居住地のアトランタは人種差別の根強く残る街で、まだ世間で正しい知識がなかった『エイズ病』患者が大きな差別を受けていた。「私に何ができるのか」と自問した家田さんは、ボランティアに登録。様々な患者と交流し、「きちんと会話もせず自分で判断し、怖いからと勝手に拒絶してはいけない。会話をすれば、理解できる。そこから、思いやりが生まれる。ただ、一緒にいるだけで、相手を安心させられると学びました。ぜひ、一歩前に出て、相手の顔を見て挨拶をするところから始めましょう」と、語った。
表彰と朗読
小中学生人権ポスターでは、市内の小中学生10名が表彰された。昨年の全国のいじめ発生件数は把握されているだけで70万件。原画を描くことで人権の必要性を学び、豊かな人権を身に着けることを目的とした公募に、市内15校から86点の応募があった。作品は、友情や性別、平和を表現した絵が多かった。また、全国中学生人権作文コンテスト千葉県大会で123校10126編のうち、奨励賞に選ばれた作品『自分らしさ』を、受賞者の市立八幡中学校 横屋結愛さんが朗読した。

表彰された子どもたち