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人間にとって何より大切な食べ物を守るために~ 大森屋青果有限会社 高澤 正浩さん、恵大さん~【市原市】

【写真】正浩さん(後列左)、恵大さん(後列中央)、母・照代さん(前列左)とスタッフ

 市原市五井中央西に店舗を構える『大森屋青果店』。白金通り沿いを走ると見える赤い看板『おおもりや』、広めの駐車場には代わるがわる自動車が止められていく。店内には4代目の社長である高澤恵大(けいた)さん(28)をはじめ、両親を含めた従業員が笑顔で働いていた。「当店は、あと8年で創業100周年を迎えます。新鮮な野菜や果物を揃えていることはもちろんですが、まずはお客様ファーストを念頭に経営を続けています。量より質、商品に納得して買っていただき、喜んでいただく。そんな人間対人間の付き合いを大切に、店を続けていってほしいです」と話すのは、先代の社長であり父親の正浩さん(64)。数年前に体調不良を理由に経営を退き、恵大さんの活躍を間近に見守っている存在だ。今回は、地元に欠かせない存在である『大森屋青果店』について紐解いていく。

街の活性化のために

 恵大さんが『大森屋青果店』を継いだのは、数年前のこと。「父が体調を崩し、仕入れにいくことが難しい時、代わりに行くようになったんです。その頃、僕は大学生で卒業後の進路に悩んでいた時期でもありました。学生時代は海外で活躍するサッカー選手の通訳になりたくて、高校生ではカナダ、大学生ではアメリカ留学経験もあったので、小さい頃から店を継ごうと思っていたわけでは、正直ありません」と、率直に回想する。だが、正浩さんが「優しい性格」と話すように、導かれるように自然とお店の仕事をするようになった。
 店内には色とりどりの果物や野菜が綺麗に陳列されている。マンゴーやリンゴ、さくらんぼやパイナップル。トマトやレタスなど食卓のメインから、ベビーコーンや紫たまねぎというスーパーではちょっぴり珍しいものまで。そして店内の一角では『3132(サンイチサンニ―)SWEET FACTORY』の看板がある。これは、その日に食べ頃の野菜や果物を厳選し、専属のパティシエが作るスイーツコーナーだ。フレーバーティーやバナナシェイク、おおもりやスムージーなどメニューは豊富である。さらに、宮崎マンゴーやイチゴ、マスカットを乗せたタルトなど豪華なスイーツが並ぶことも。「2023年からスタートした3132ですが、初めは捨てるより加工した方がいいな、という考えからでした。今では、どのケーキ屋さんより上に乗っている果物に自信があります!季節によってジュースのメニューが変わるのも楽しんでもらえたら」と、満面の笑みを見せる恵大さん。
 そんな恵大さんが街の活性化のために取り組んでいるのが、五井駅前の『こみなと待合室』で行っている『ストリートライブ』だ。「地元を盛り上げるなら、まずは駅を賑やかにしたかったんです。ジャンルにこだわらず演者を集めて、2時間のライブをしつつ当店のお菓子を販売しています。商品の販売より、町おこしをしつつ、一緒に働いてくれる仲間を見つけるのが目的に近いです」と話す、恵大さん。市内の学生が演奏してくれたこともあり、見ごたえは十分。「次回は6月22日14時からなので、よかったらいらしてください」と、続けた。

店内で販売されている『3132』のスイーツ(写真・左)

ストリートライブ

未来を見つめて

 ストリートライブだけでなく様々なイベントに出店するなど、精力的に活動する恵大さん。店舗の経営以外にも力を入れるには、理由がある。「本社があるのは市原市。この土地で生きていくことは変わらない。それなら、この街を変えたいと思ったんです。面白いお店が存在して、大切な人と住みたいと思える場所であって欲しい。そのために、まずは自分のお店をずっと続けていく。それと同時に、周りのお店も元気づけられる存在でいたいです」と、課題を上げる恵大さん。そして、正浩さんも「昔はこの辺りも8軒ほど八百屋があったけど今では2軒になりました。かつてはスーパーの存在に葛藤したこともありましたが、今は争わない、がモットーです。供物や出始めの新鮮なフルーツやギフトなど、青果店ならではの良さが売りなんです」と、笑顔を見せ、「なにより大切なのは、双方が納得して購入すること」だと告げた。一度限りの購入ではなく、『信頼して次も来てくれるため』に、納得してもらえないと判断した時は断る勇気も忘れてはいけないのだとか。
「お店をやっていて嬉しいときは、希望金額で綺麗に売れた時です。野菜や果物は農家さんからの預かりもの。お客様が喜ぶだけでなく、農家さんに良い報告ができることが大切と考えています。これからも地元に根付いた様々な活動をしながら、店舗を経営していきます」と、熱い思いを見せた恵大さん。決して多くを語らず、「野心は表に出さない」という正浩さん。だが、その背中に描かれた歴史と思いを、4代目の恵大さんはしっかりと受け継いでいるようだ。きっと新たな『大森屋青果店』の未来を切り開いていってくれることだろう。

「3132 SWEET FACTORY」にて、恵大さん

問合せ:大森屋青果有限会社
市原市五井中央西1の34の21
Tel.0436・24・8083

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応募はハガキ、FAX、メールにて、〒・住所・氏名・電話番号などを明記し、シティライフ・季節のタルト係まで。6/27(金)必着。
〒290-0056 市原市五井4874-1
fax.0436-21-9142 
メール:kiji@cl-shop.com 

赤い看板が目印『大森屋青果店』