1. HOME
  2. シティライフ
  3. 悠久の時を奏でる雅楽 『月見の宴』8/8㈮開催~玉前雅楽会~【一宮町】

CITYLIFE

地域情報紙シティライフ

悠久の時を奏でる雅楽 『月見の宴』8/8㈮開催~玉前雅楽会~【一宮町】

 8月8日(金)、一宮町の玉前(たまさき)雅楽会による『月見の宴』が、一宮海岸にて開催される。月が上れば、海に一筋の月光の道が浮かぶ幻想的な風景が現れ、波音だけの静寂の中で雅楽の音が響く。日本古来の芸能と大陸文化が融合した雅楽は、平安時代に今日のような形に整えられたとされる。楽器演奏のみの『管絃』は、管楽器、絃楽器、打楽器からなる編成で、世界最古のオーケストラともいえる。玉前雅楽会は、玉前神社に有志が集まり1994年に発足した。現在18名のメンバーは仕事の傍ら、神社の祭典奉仕や年2回の定期演奏会を中心に、地域の小中学校での雅楽教室など地域活動にも力を入れている。

古の響き

 玉前雅楽会の練習は、玉前神社の斎館にて、毎週土曜の19時から21時に行われている。雅楽会設立当初からメンバーの松井満さんは、雅楽に用いる様々な楽器に精通し、現在『玉前雅楽会長』を務めている。「最初は月2回の練習だったのが、みな熱心で、とうとう毎週に。一朝一夕に身に付くものではないので、みんな一生懸命にやっています。外稽古や、宮内庁などの演奏会の鑑賞にも出掛けています」と話す。香取神宮の雅楽会にも長く関わり、雅楽のキャリアは20年というメンバーは、横笛の『龍笛(りゅうてき)』と楽琵琶を担当している。「玉前雅楽会は稽古や活動が活発で、大変やりがいがあります」。

花見の宴

 雅楽の楽器のうち、管楽器の『笙(しょう)』『龍笛』『篳篥(ひちりき)』は三管とよばれ、それぞれの音色は次のように説明される。笙は『天から差し込む光、天の音』、龍笛は『天と地の間を飛翔する龍の鳴き声』、篳篥は『地上にこだまする人々の声のざわめき』。篳篥は小さい楽器ながら音量が大きく、音程も自由に出せるので、合奏では主旋律を担当する。絃楽器は『楽琵琶』『筝(そう)』、打楽器は『鞨鼓(かっこ)』『楽太鼓』『釣鉦鼓(つりしょうこ)』などがある。メンバーは、「昔の日本人がどういうことを感じていたのか知りたくて雅楽を始めました。極楽浄土を連想させる音楽としても雅楽が用いられます」「楽器を始めたくて入会しましたが、思っていたより難しい。でも奥が深くて楽しいです」「笙はパイプオルガンのもとになった楽器と言われています。扱いは大変ですが、すごく楽しい」と、口々に語る。
 雅楽の基礎となる練習方法は『唱歌(しょうが)』といって、楽器を持たずに手で膝を叩きながら拍子をとり、三管独自の「アー、オー」などと擬音化した曲の旋律を声に出して唄う。これによって曲の流れをつかみ、息遣いを学び、楽譜を見ずに楽器を演奏する暗譜にも役立つ。篳篥を担当するメンバーのひとりは、「篳篥は音が強いので、家での練習は専ら唱歌です。楽譜のコピーを台所にも貼って、自分の篳篥の演奏をイメージし、繰り返し唄っています」と説明する。毎週土曜の練習でも、唱歌に充分時間をかけてから合奏の練習をする。指揮者のいない雅楽では、奏者同士の阿吽の呼吸が重要。日頃から細部まで唱歌を通じて確認し合っている。

自然の中で雅楽を愉しむ

 年に2回の定期演奏会は、『花見の宴』と『月見の宴』。「練習の成果が出せる場として、励みになっています」と、松井さん。今年3月の花見の宴でも、「毎年来てくださるリピーターが増えた」と手ごたえを感じている。演奏会の観覧が入会のきっかけになることも。入会して2年のメンバーは、「雅楽に興味を持っていたので、花見の宴を見てすぐに連絡しました。先輩方に助けられながら頑張っています」。入会13年のメンバーは、「月見の宴を見て、いいなと思って入会しました。海での演奏は心地よいです」と、話す。
 8月8日(金)の月見の宴に先立ち、7月20日(日)には、長南町の『蓮田から生まれる豊かなくらしの会』主催で、『蓮の花と雅楽を楽しむ会』が開かれる。昨年に引き続き2回目となる今回は、蓮田の中に作られる竹の舞台で演奏が披露される。早朝に咲く蓮の花を眺めながら、雅楽の響きに耳を傾ける。イベントでは会長の松井さんより、雅楽の歴史や楽器についての説明も行われる。どちらも日中の暑さを避けて、雅楽に親しめる機会。興味のある方は、どうぞお出かけを。

●『月見の宴』8月8日(金) 19時開演
会場:一宮海岸(一宮役場下地曳小屋横) 
雨天時:玉前神社参集殿
観覧無料 駐車場有
●玉前雅楽会・メンバー募集中 練習日に見学可能 詳しくは問合せを
問合せ:玉前神社
Tel.0475・42・2711

●『蓮の花と雅楽を楽しむ会』7月20日㈰ AM6時~7時半
会場:長南町本台の蓮田
駐車場:JA全農ちば南総センター(長南町本台628)
雨天時:本台青年会館
参加費無料
問合せ:蓮田から生まれる豊かなくらしの会 代表・細田さん
Tel.0475・40・5750
メール:kusamusi63@gmail.com

月見の宴