CITYLIFE 地域情報紙シティライフ 異色にして最初で最後の三人展 ミズ・テツオ、豊田勝彦、 山田道則「旌旗蔽空(せいきそらをおほふ)」7/21(祝)まで~田園の美術館~【いすみ市】 2025.06.26 【写真】ニューヨークへ:ミズ・テツオ いすみ市・田園の美術館(いすみ市郷土資料館)にて、企画展『ミズ・テツオ 豊田勝彦 山田道則―旌旗蔽空(せいきそらをおほふ)』が7月21日(月・祝)まで開催されている。 今年1月末に80歳で亡くなった画家、ミズ・テツオは、1991年からいすみ市岬町和泉にアトリエを構え、パーキンソン病のため自由に制作ができなくなった晩年も、可能な限り筆やペンを持ち、精力的に作品を作り続けてきた。代表作は、多国間を行き来する船舶が掲げる『国際信号旗』を組み合わせて描く『フラッグ・シリーズ』。1980年代に脚光を浴びて以来、イタリアやフランス、スペイン各地で展示会が行われ、1989年のバルセロナでは『ピカソ・ダリ・シャガール・ミズ』展、1990年のパリでは『ダリ・ミズ』展が開催されるなど、現代の抽象画家として国内外で高い評価を得ている。 山田道則は、甲冑武者絵を主に描く画家。ミズと6歳違いだが、武蔵野美術学園(現武蔵野美術大学)の同期で、在学中から親交を深めてきたという。この三人展は、ミズが山田を誘って実現した企画展。二人が同じ展示会で作品を並べるのは、学園卒業直後に行った二人展以来50年ぶり。ミズが鬼籍に入ったことで、図らずも遺作展となった。豊田勝彦は、甲冑の制作・調査、修理・補修を行う甲冑師。甲冑武者を描く山田とは数十年のつきあいがあり、何度も二人で展示会を行っている。豊田がミズと知り合ったのも3年前の山田との二人展で、来場したミズと意気投合、「ミズさん自身がとても面白い」と評している。 企画展のタイトルの『旌旗』は、色鮮やかな旗やのぼりを指す。ミズのフラッグ・シリーズはもちろん『旌旗』であり、山田が描く甲冑武者、豊田が扱う甲冑も、昔から戦闘時に旗指物はなくてはならないものであり、共有のテーマを内包している。山田の作品では、御鎮座1350年を迎えた市原市八幡の飯香岡八幡宮から依頼された記念の『縁起絵─八幡神顕現』が新作で、同神社の例大祭で行われる『柳楯神事』の起源伝承の場面を描いている。豊田も、今回の企画展のために新作を制作、出展している。作品数は約40点。他にはない異色の三人展、ぜひ足を運んでみては。 問合せ:田園の美術館(いすみ市郷土資料館) いすみ市弥正93の1 Tel.0470・86・3708 ・開館時間:9時~16時半 ・休館日:祝日を除く(月) ・入館無料 鎧:豊田勝彦(左) 頼朝、安房へ(部分):山田道則(右)