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シニアの様々な生活不安を解決へ~めーぷる市原店 上級シニアライフカウンセラー 安田 泰裕 さん~【市原市】

JR五井駅東口より徒歩数分。更級通り沿い、3階建てビルの2階にシニアライフ相談サロン『めーぷる市原店』がある。「今のところは個人相談よりも、施設等へ訪問しての相談のほうが多いです」と話すのは、上級シニアライフカウンセラーの安田泰裕さん(36)。一般社団法人シニアライフカウンセラー協会が運営する相談サロンは、専門職を活かした行政書士や税理士、不動産会社などが加盟し、全国で100店舗を超え展開中だ。「高齢者の生活の中での困りごとや悩み、不安は、分野を問わず全般で受けられるのがめーぷるの強みですね」と安田さんは言う。
行政サービスの経験
安田さんは市原市不入斗(いりやまず)出身、ちはら台在住。前職は公務員で、市原市に16年間勤務した。最初の仕事は市原市役所に新庁舎ができる前、旧庁舎での市民課窓口。次に南総支所の土木課、生活福祉課では居宅ケアや施設関連でのケースワーカーなどの業務にあたった。DV被害者のシェルターに関わる女性サポートセンターや、選挙管理委員会にも行ったという。「転職直前はちはら台支所で、最初の市民課と同じ業務のほか、年金・健康保険・税務など、窓口で様々な行政サービスを学びました。16年間で一番長く携わったのは福祉関連で、力を入れたのは生活保護者の就労支援。面接に何度も落ちている人もいて、一人でも多く就職できるようにしたいと思ってました」
だが、公務員試験に合格し市原市に就職した安田さんには、各企業を回って面接を受けるという就活の経験がない。就職希望者に一般的なアドバイスしかできず、心苦しく思っていた安田さんは、実際に経験してみようと思い立つ。そして有休を取り、民間企業の面接を受けたという。「事前に練習したんですが、現場では緊張してうまく質問に答えられませんでした。面接はこんなに大変なのか、と実感しましたね。それからは苦手な人の気持ちに寄り添って助言できるようになり、就職率もアップして、中には名の知られた企業に就職した人もでてきました。すごく嬉しかったです」
そうしたやりがいの中でも、安田さんが常に抱えていたのは、仕事へのジレンマだった。市内全域、市民全員が対象である行政サービスは、広く行き渡らせるのが基本。「手助けも担当する分野になりますし、一人ひとり違う困りごとになかなか丁寧に対応しきれない。不完全燃焼というか、どうしてもやり切れなさがありました」
やがて安田さんは思い切って市役所を辞め、土木課での測量や敷地の現地確認などの経験を活かし、東京の不動産会社に転職。昨年には、子ども3人と過ごす時間を増やしたいと、自宅に近いおゆみ野の不動産店の面接を受ける。「その後、五井にある本社でも再度面接。別事業にめーぷる市原店があると知り、そのシニア相談窓口の担当になって欲しいと言われたんです。それが転機で、これまでの自分の経験が活きると、すぐに上級シニアライフカウンセラーの資格を取りました」
専門家のネットワーク
めーぷる市原店として加盟する有限会社ハウスフィットは、一級建築士事務所と不動産業を行っている。めーぷるでシニアの住まい相談を受ければ、手すりつけの小さな工事から、バリアフリー化などの大がかりなリフォームまで対応できる。「めーぷるは、全国に様々な店舗がありますが、どこも特徴ある専門家が運営しています。弁護士、司法書士、施設紹介、ペットのスペシャリストなど、高齢者の暮らしに関わってくる様々な問題を、加盟店同士で助力しあって、具体的に解決するお手伝いをします」
例えば入所する施設選び。娘さん家族が神奈川、本人が千葉に住んでいるとき、どこの地域の施設にすれば良いか、様々なケースを想定して、家族にも本人にも丁寧なヒアリングをする。その後、数多くの高齢者施設の特徴を知り尽くしためーぷるの他店スタッフに依頼し、実際にいくつかの施設をともに訪問。プログラムなどにも参加し、本人や家族の希望を確認しながら、じっくり選んで決めるのだという。「ご家族もそうですが、ご本人の気持ちや体験が何より大事。漠然とした不安や無意識に望んでいることもあるので、ビジネス的に話を進めると、後で『やっぱり嫌だ』ということになり、結局解決しないことが出てくるんです」
面談も何度か通って、本人が望みを言い出すのを待つ。「毎回探り探りですよ」と言うが、ここで役立つのは、安田さんの行政での経験だ。幅広い分野に応えられる安田さんは、雑談的に出た相談者が持つ色々な気がかりにも具体的なアドバイスができる。「相談は1回1時間程度で、2回目から有料なのは協会の方針。最後までサポートして解決するには時間がかかることも多く、責任をもって専門的サービスを提供するためには、ボランティアでは難しいですから」
「これはあんたに任せる、と信頼して言っていただけるのが、何より嬉しい」と笑顔で話す安田さん。担当するエリアは市原市以南の南房総。各施設を通じた入所者へのケア依頼に、精力的に飛び回っている。「高齢者の方だけでなく、生活上なんとなく不安だ、どこをどうしていいか分からない、といった方ならぜひお話をお聞きしたいです。それで少しでも楽になっていただければ」と語る。相談は予約制、初回のみ無料。詳細は電話で。
問合せ:めーぷる市原店
市原市五井中央東2の17の18 Fitビル2階
9~18時 (火)(水)定休
Tel.0436・25・6512