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霜にも雪にも負けない加茂菜 里山の地域おこしに~加茂地区農業振興協議会~【市原市】

 市原市の高滝湖近く、加茂運動広場向かいにあるミニ直売所『里味発見市場』。地域の有志で管理する田畑『日髙サンフラワーファーム』の一角に作られている。近隣の農作物が並び、今の時期は、この地域の特産物である『加茂菜の漬物』、柑橘類、白菜などが多い。運営する加茂地区農業振興協議会の実行委員長・関谷正夫さんは「市原南部の加茂地区は、大変広い地域ですが、人口は約4000人ほどしかいません。このままでは故郷が荒廃してしまうと、地域の人たちが力を合わせ、様々な取組みをしています」と話す。

耕作放棄地を復活

 房総丘陵の山々と養老川の恵みに培われた穏やかな里山は、加茂地区の人びとが世代を継いで手入れをし、保ってきた風景だ。芸術祭など定期的に行われるアートイベントに、地磁気逆転層を含む地層『チバニアン』、高滝湖や養老渓谷など、自然を活かした観光スポットはいくつもあるが、少子化と過疎化で耕作放棄地は増え、人口減少も進んでいる。「高滝は加茂地区の入口。幹線道路沿いで多くの方が通る所が荒れていてはダメだと、約20年耕作放棄されていた約4500坪の土地の手入れから始めました」と関谷さん。低木が生え藪化していた場所を一昨年、有志メンバーで草を刈り、木を伐り、重機で根を掘り起こし、富士山麓で作られた有機肥料を入れ、作物の育つ土に作り替えた。昨年には約600坪に稲の苗を植え、同時に畑作りもスタートさせた。「秋には大収穫祭として新米の無料試食会を行いました。多くの方に『とても美味しい』と大好評で、とても嬉しかったですね」
 日髙サンフラワーファームの名は、明治時代、養老渓谷で地域発展に尽力した日髙誠實(のぶざね)からつけられている。誠實は宮崎県出身。明治政府が推奨していた殖産振興の場所に、理想郷として養老渓谷の梅ケ瀬を選び、教育や産業振興に長年取り組んだ人物として知られる。「養老渓谷で人気がある梅ケ瀬は、日髙邸の跡地。彼が入村して今年で140年。当時の開所式には、1000人以上の人が集まり、陸軍省で誠實と同期だった県令(県知事)も来場するほどだったそうです。サンフラワー(ヒマワリ)は、高滝がレイライン(日本の聖地が一直線に並ぶ御来光の道)の下にあるので、太陽に向かって咲くヒマワリのイメージでつけています」。ファームの一角に立つミニ直売所『里味発見市場』の名も、里山と高滝に隣接する里見、この地域の味を発見していく、という地域振興の意味が込められている。昨年末には鶴舞インター付近に2店目の『里味発見市場』もオープンさせた。観光の拠点のひとつにしたいと、誠實の功績と歩みを伝える『日髙誠實記念館』も、小湊鉄道養老渓谷駅近くに整備中だ。

鶴舞インター近くにある『里味発見市場』

加茂菜で美しい里山に

 加茂地区で約100年作られてきた『加茂菜』は、冬が旬。寒さが厳しい1~2月頃、最も美味しくなるという。栽培時期は10月~5月と長く、枯れ色の多い時期に瑞々しい緑の葉で風景を鮮やかにする。「加茂菜は1月が初物で、特徴は甘みと茎葉から出るぬめり。加茂地区では冬に塩漬けにし、昔から地域の漬物として食べられてきました」と話すのは、同協議会メンバーの長谷川さん。自身も加茂菜を栽培している農家だ。「霜や雪が降っても葉はきれいな緑のまま。寒さに耐えてから収穫するものが一番美味しいですね」。
 加茂菜の栽培は、明治~大正の頃、高滝にあった旅館の主人が宿泊した行商人から種を譲り受け、近くの畑で育てたのが始まりと地元では言い伝えられている。同協議会では加茂菜を地域の特産物としてブランド化できないかと、昨年からメニューを研究中。塩漬けだけでなく、辛子漬けなど別の味も開発し、餃子やコロッケ、ジュースやペーストなどレシピを増やしている。特にペーストはニンニクとオリーブオイルに混ぜればジェノベーゼになるなど様々な料理に使え、試食会ではどれも好評だったそうだ。

加茂菜畑と長谷川さん(左)
加茂菜のジュース(右)

「加茂菜を地域の特産物にすることで、栽培面積を増やしていくことが目標。加茂菜は砂地を好むので、高滝ダムの底に溜まる砂や、近場の竹林の竹をチップにしたものを敷き、荒れた畑を整備します。有機肥料も地域の畜産農家から牛・豚・鶏の糞を提供してもらって作り、加工場も誠實記念館に隣接して建設中で、直売所も併設する予定。すべて地元のものを使って作る『加茂菜革命』で、冬でも一面に加茂菜のグリーンが広がる美しい風景にしたいと進行中です」と関谷さん。
 2月23日(祝)には、加茂菜の無料試食会を日髙サンフラワーファームで開催。目の前の畑で収獲した新鮮な加茂菜をその場でジュースにし、ペーストとともに試食する。塩漬けの実演もあり、漬物の販売も。10時~13時、品物がなくなり次第終了。駐車場が少ないため、小湊鉄道での来場を推奨(高滝駅か里見駅で下車、徒歩約10分)。雨天中止。 

問合せ:関谷さん
Tel.090・3139・0234

加茂菜を塩漬けに(左)
建設途中の加茂菜の加工場(右)