CITYLIFE 地域情報紙シティライフ うららかに春の悦び 川が流れる山あいのオープンガーデン~癒しの齋藤ガーデン~【大多喜町】 2026.04.02 大多喜町小苗の齋藤博さん邸では、庭を『癒しの齋藤ガーデン』と名付け、4月初めのシダレザクラから、八重桜、ツツジへと花の盛りが移っていく4月末までの間、オープンガーデンを行う。齋藤博さんは郵便局退職後、自宅庭の整備を始め、八重桜が見事な花を咲かせることから、「自分たちだけではもったいない」と、一般に公開するようになった。今年16回目となるオープンガーデンは、シダレザクラの開花とともにスタートする。 力を合わせて庭作り 齋藤邸の地所は3500坪。自宅裏には竹林、南側斜面を下りれば、いすみ川支流の西畑川が敷地内を流れている。ここは博さんの生家で、両親は米農家を営んでいた。「子どもの頃は、兄弟で農作業を手伝っていました。川ではウナギをとってよく食べたものです」 博さんが敷地の整備を始めたのは、郵便局を退職した20年程前のこと。今でこそ南に面した庭は日当たりが良く、向かいの山まで視界が開けているが、当時は母屋の前に2階建ての納屋があり、川が流れる谷の周辺は杉が植えられ、こんもりとした森になっていた。「日陰で暗かったし、葉っぱも飛んできた」というほど。その後、1年1年手をかけて庭を造り上げてきた。森を伐採し、納屋を西側に移設。お稲荷様には建屋と鳥居を新築し、「きれいな花で神様が喜んでくれると思って」と、周りにぎっしりとツツジを植えた。公開を始めるきっかけとなった3本の八重桜は、当時樹齢30年ほどの木だったが、それに加え新たに70本の苗木を植えた。シダレザクラ、アジサイにムクゲなど、季節ごとに花を楽しめる木や、青葉や紅葉がきれいなモミジも植えていった。 齋藤さん夫妻 「初めは全くの素人で、見よう見まねでやりながら覚えました。ツツジも最初バサバサと刈っていたら、あまり咲かなかったこともある。刈る時期が悪かったんだなと。庭全体の美しさ、手前を低く、後ろを高くというスケール感を初めは分からずにやっていたので、一度植えた木を植えかえたりもしました」と博さんは説明する。庭の手入れの「三種の神器は、植木ばさみ、鎌、ノコギリ」で、エンジン式の草刈り機や電動の植木バリカンは使用しないという。「こんなに広いところを本当に一人で?」ときかれることもよくあるとか。「私は、アート部門担当」と話すのは、妻の洋子さん。木工で看板や動物を作ったり、雑貨でプランターや鉢を飾り付けたりと、植え込みや庭の所々を色とりどりの草花とともに演出する。「切った枝がキリンに見えたら、キリンの柄をペイントしたりして。ネットの動画も参考に楽しんでいます。草花は品種によって日なたがいいとか、半日陰がいいとか、長年かけて失敗を繰り返しながらやってきました」 2019年に相次いで房総半島を襲った台風では、八重桜が20本、根元から倒れてしまったり、西畑川が氾濫し、谷の周辺は流れてきた倒木やゴミの始末が大変だったりと、ガーデンにも被害があった。最近ではキョンが出没し、やわらかい若木がかじられ枯れてしまうので、割った竹で筒状に幹を覆うなどの苦心をしている。それでも、「庭を見てくれる人がいるので張り合いになる。おかげで病院知らず、薬知らずです」と、博さんは笑う。 心と体の元気の源 ガーデンは四季折々の自然の恵みにあふれている。フキノトウやゼンマイ。大多喜名産のタケノコ。果実は、ウメ、イチジク、ブルーベリー、柿に柚子。大きな夫婦イチョウからはギンナンも。山あいのこの土地は肥沃で、「すべてが美味しい」。「梅がならない年によそでウメを買ってみたら、家のウメがやはり美味しいと思いました」と、洋子さん。「果実はジュースにしたり、ジャムにしたりと、作って楽しい、食べて美味しい、です」と顔をほころばせる。 4月の齋藤ガーデンは、シダレザクラが薄紅色の花をつけ、同じ頃シャクナゲや春咲きのツバキも咲き揃う。中旬にはシダレザクラからバトンを受けるように、八重桜が濃いピンクの花を咲かせる。下旬になると平戸ツツジが赤や白にピンク、ヤマツツジがオレンジ色の花を競うように咲かせる。博さんは、「ここにきて、庭は一通り完成したかな」と感じている。「これからは、いつまでも元気に、手直ししながら管理していければ」と、洋子さんとうなずき合う。「オープンガーデンで交流が広がって、いろいろな方とつながりができました。お客さんにいろいろなお話がきけるのが楽しみ。決まって来てくださるリピーターさんもいらっしゃいます」。町内の保育園生と小学生の訪問も毎年の恒例となった。子どもたちは、花を見て喚声を上げたり、竹林の中を走り回ったり。「みんなかわいくて、私たちが元気をもらっています」とふたり声を合わせる。 この春も『癒しの齋藤ガーデン』は、様々な出会いを心待ちにしている。シダレザクラの開花に合わせて公開するため、公開開始日については問合せ。インターネットは『大多喜町齋藤ガーデン』で検索。ナビによっては道がわかりにくい場合があり、その際は電話で問合せを。 問合せ:癒しの齋藤ガーデン 大多喜町小苗10 Tel.0470・83・0150 公開時間:10時~16時 入場無料 駐車6~7台可 トイレなし