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ツクシはスギナの胞子茎

 春の訪れを告げる風物詩に取り上げられることが多いツクシ。日当たりが良い所ではもう見られるかもしれない。ツクシをスギナの花穂と思い込み、花の図鑑で調べたら載っていなかった。どこかの図鑑で見た記憶があり、いろいろ調べたら野草の図鑑に載っていた。
 胞子が散布されるシダ植物門トクサ科スギナ(杉菜)の胞子茎がツクシ(土筆)だという。種が散布される裸子植物門や被子植物門とは分類が異なるようだ。緑色で花穂の蕾の形に似たのは緑色の胞子を放出する前、放出した後はたくさんの小さな傘が開いたようになる。
 ツクシは食べられる野草としても広く知れわたる。だけど、春のほんの限られた期間しか摘み取れないので、食べた経験がある方は意外と少ない。今でも珍味として喜ばれる。スギナの葉と根は生薬としても利用されていた。民間薬の多くが中国伝来の漢方に対して、江戸時代にオランダやポルトガルとの交易で薬効が伝わった西洋伝来のものとされている。
 スギナは手触りがザラザラする、繁殖力が強い、いくら抜いても残った地下茎で増える、などが特徴の誰にも嫌われる野草だ。以前住んでいた所の庭にびっしりとはびこっていたときはとても手を焼いた。ツクシでも生えてくれば少しは我慢ができると思った。
 スギナが生えている場所の養分が乏しいとツクシが出て、豊かだとスギナばかりになるようだ。ツクシが見られた場所の風下では、翌年にスギナが新しく発生するということになるのだろうか。ならば喜んでばかりもいられない。胞子をまかれる前に摘み取ってしまわなければ、また苦労がはじまる。
ナチュラリストネット/野坂伸一郎


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