光と影の存在を体感 くらやみ美術館開催

 暗闇の中、光に照らし出された悲しそうな顔と微笑む影。この世に生きていると悲しみや苦しみは必ずやってくるが、背後では喜びや希望が出番を待っている。生きていく上での光と影を表した作品、『影は笑う』。光と影は表裏一体、決して混じり合うことはないが互いになくてはならない存在。そんな世界観を表現した『おおたか静流(しずる)with藤本隆行 くらやみ美術館』が5月8日(日)まで、市原湖畔美術館で開かれている。おおたかさんは、NHK Eテレ『にほんごであそぼ』の出演でもおなじみのシンガー&ヴォイス・アーティスト。照明アーティストの藤本さんとともに光と影のインスタレーション作品をつくりあげている。
 ある部屋では、思い思いに作ったダンボールの仮面を被り踊る人々の映像が流れている。不思議な雰囲気を感じるのは、顔を模した面を後ろ向きに被っているから。これぞ、昨年夏に行われたワークショップ『お背中ダンス』。正面が「この世=光」で背面が「あの世=影」を表している。参加者は、おおたかさんの新譜『お背中音頭』で踊り、光と影、生と死が表裏一体だということを体感した。 
 高さ8mの吹き抜けがある広い空間に和紙でできた様々な生き物が浮かんでいる。キリン、カエル、人間など。抜け殻・亡骸のように見えるが、時に黄色い光が灯る。空間全体を包み込んでいるのは、おおたかさんの神秘的な歌声。「命は限りあるもの。死後の存在に灯りをともすことで次の生命への連鎖を表しています」とおおたかさん。照明と音の幻想的な組み合わせをお楽しみあれ。 
 真っ暗で温かい母親のお腹から「オギャーッ」と声を出し泣きながら生まれてくる赤ちゃん。声と光が出会い、光に導かれて人生を歩み、この世を去ると再び暗闇に戻る。「光と影の分かち合いを、見る人がそれぞれ自由に感じてくれたら」おおたかさんは、背面に仮面と白い洋服をまとい表裏一体となった姿で微笑んだ。
 週末には1日に100名ほどの来場者が訪れている。「この不思議な空間に、ずっと身を置いていたい」との声も。
 展示以外にも様々なイベントが行われている。4月30日(土)と5月7日(土)13時からは『なまうたギャラリーツアー』が。ゾクゾクするほどに美しいおおたかさんの声と光のインスタレーション。その響きを体いっぱいに浴びてみて。

問合せ 市原湖畔美術館
TEL 0436・98・1525


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