あなたの足元に遺跡があるかも

 昨秋、国分寺公民館主催講座『国分寺散歩』と『町歩きの達人』(最終回)が同時開催され、38名がガイドツアーに参加した。講師は、観光ボランティアガイド『かずさのくに国府探検会』代表の前田房穂さんと、同館で活動するボランティアガイドサークル『天平の甍』代表の南木徹さん。講師二人が見どころを解説したあと、それぞれの案内するコースを歩いた。
 「市原市は何もないところと思っていませんか。実は旅行会社がツアーを組むほど貴重な遺跡が多くあります」と話す前田さんは、神門5号墳から上総国分寺を回るコースを歩く。神門5号墳は「前方後円墳に先駆けて築造された円墳の先に突起のあるイチジク型」。発生期の古墳を知るうえで大切な遺跡だそうだ。
 南木さんが案内するのは稲荷台1号墳と国分尼寺を回るコース。国分寺台中央公園入り口で、国分寺通り名を記した石柱に彫られた丸瓦、山倉1号墳と出土した人物埴輪のモニュメント、国分寺七重の塔の一番の上にあったとされる仏舎利塔の模型について説明する。「丸瓦は、上総国分僧寺・尼寺用に焼かれた二十四葉の蓮華文。平城宮の瓦がお手本です」、「埴輪は埼玉県鴻巣市にある生出塚遺跡で焼かれ、運ばれてきたと考えられています」などの話に参加者らは「へえ」、「ほう」と感心しながら、古の人々に思いをはせていた。
 稲荷台通りの中央分離帯にある王賜銘鉄剣の石碑を見て、稲荷台1号墳記念広場へ向かう。稲荷台1号墳は5世紀に築造された12基以上の円墳からなる古墳群の一つ。直径約28メートルあったが、記念公園の墳丘は後から3分の1の大きさで復元されたもの。大和朝廷と関係が深かったことを示す日本最古の鉄剣『王賜銘鉄剣』が発見されている。「市原市は埋蔵文化財の保存環境が整っていないので、佐倉の国立歴史博物館にあります。昭和52年に発掘調査し、10年後にエックス線調査で鉄剣から文字が発見されたときには、墳丘はすでに家屋が建設されていたのではないでしょうか。あとから空き地に公園を作ったのでしょう」と南木さんは残念そうに話した。
 日本最大の大きさを誇る国分尼寺へ行く途中には、尼寺の政所院跡がある。国分寺台西中学校南側の空き地で国有地となっている。菊花展の開かれていた尼寺にて資料館の職員から説明を聞き、日本で唯一復元された中門と回廊を見学。時間不足で、予定していた市役所屋上からの眺望をあきらめ、急ぎ公民館に戻った。
 市原市に住んで40年という女性は「今まで地元に愛着がなかったが、ぜひ子どもにも伝えたい」と話していた。南木さんは「図書館には遺跡の分布図などがあります。自分の住んでいるところが、かつてどんな場所だったのか確かめるのも面白いですよ」と話した。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  昭和を代表するスター「石原裕次郎」は今年、生誕90年。映画やドラマで大活躍し、歌手としてもヒット曲多数。誰からも愛された「裕ちゃん」の魅…
  2.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月5日(木)~6月10日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける…
  3.  今年は小湊鐵道開業100周年。これを記念し、アートによる地域づくりの拠点である市原湖畔美術館は、小湊鐵道とコラボプロジェクトを進行中。小…
  4.  成田山公園で毎年行われる冬のイベント「成田の梅まつり」。会場は成田山新勝寺大本堂の奥、16万5000平方メートルもの広大な公園。四季折々…
  5. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…
  6.     ◆一席 記念日を遅れて祝い根にもたれ  一宮町 黒猫胡桃     ・老プランあまく見積り火の車  茂原市 道譯賢…
  7. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…
  8. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  9. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る