俳画と文 松下佳紀

出たばかりの春の満月は手を伸ばせば届きそうな近さと異様な大きさを見せる。家並みや山陰から音もなく浮かび上がってくる赤ら顔の月を見て驚かぬ人はないだろう▼幻想と言うべきか、月の表面に人の顔などを思い浮かべるのは、いつの昔からあったのだろう。満面の笑みをたたえる月。彫りの深い横顔の三日月など子供の絵本ではよく見かける。人間の想像力は面白い。兎が餅をついている図柄、女神の姿や悪魔の顔、蛙などが影絵となる。それを私たちは見守ってきた▼人類はその一方で探査ロケットを月に送り、月の石を持ち帰った。今や月は荒涼たる岩石の塊であることを誰もが知っている。それでも私たちは地球から仰ぐ四季折々の月の姿に様々な感銘を受ける。

関連記事


スタッフブログ

ページ上部へ戻る