外房の漁業の繁栄を見る『万祝と大漁絵馬』【いすみ市】

【写真】若山熊野神社地引絵馬(明治26年)

 

 いすみ市田園の美術館で開催中の『万祝(まいわい)と大漁絵馬』展。漁師たちの祝着『万祝』や豊漁を願った『大漁絵馬』、漁港を写したモノクロの古写真など、江戸時代~昭和の貴重な資料から、昔の外房の漁業の賑わいが分かる企画展だ。

 外房沿岸の漁業開発は、近世(安土桃山時代と江戸時代)初頭、紀州の漁民が地引網などの漁法を伝え始まったという。「折しも江戸の人口増で食料の魚と、綿や藍などの栽培で肥料の干鰯(ほしか)の需要が高まり、この地域はイワシの代表的産地になりました。その賑わいは絵馬によく描かれています」と同館スタッフ。

 いすみ市内の大漁絵馬のほとんどは、地元の作成と思われ、名前が入ったものも残り、地元絵師の作もある。主に地引き網などを行う浜の様子で、近くで見ると活気あふれる人々の表情も分かる。

絹の万祝「鶴亀」昭和初期

 万祝は大漁の時などに、船主や網元が祝宴で関係者に配ったもの。七宝、梅竹、鶴亀など縁起の良い図柄で、神社仏閣の参拝に揃いで着たとされる。万祝を作る紺屋(染め物屋)は、いすみ市内にも何件かあり、その絵付けに使った型紙も万祝とともに展示。型紙は丈夫な和紙で切り絵状にし、布地にのり付けして色をつけ、図柄を完成させたという。これら収集された型紙の多くは、館山市立博物館で保管されているそうだ。

 開催は来年1/9(祝)まで。万祝6点、絵馬11点、万祝型紙1点、その他絵図、古写真等15点を展示。開館時間は9~16時半、(月)と12/29~1/3は休館。入館無料。この年末年始、縁起物を見てみるのはいかが。

 

問合せ:いすみ市郷土資料館

いすみ市弥正93の1

Tel.0470・86・3708

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