こでまりの夢~父から教えられたこと~

 先日、実家の父が他界しました。厳格な昭和の父から厳しく育てられた私は、中学生の頃、家を飛び出したこともありました。そんな父のお陰で、私たち姉弟3人は、自立して自分の人生を歩める人間に育ちました。今思えば、子どもを思う父の愛情だったのかもしれません。子ども心に「やって良いこと、悪いこと」「言っていいこと、いけないこと」の善悪を知ることができたのだと思います。

 今の時代、厳格な父という存在は少なくなったかもしれません。しかし、親が壁になり厳しさを教えることもまた、「自律」や「自立」をする上で、必要なのかも知れないと感じます。厳しさを知ることは、一線を越えた悪いことをしてはいけないと教えることでもあります。一線を越えた悪いこととは、社会的にやってはいけないこと(犯罪、人を傷つけること、自分を粗末にすることなど)です。軽々しく人や自分を傷つけることは、本当の怖さや厳しさを知らないからだと感じます。

 子どもが本当にいけないことをした時には、「悪いことは悪い!」と、毅然とした態度で本気で叱る。そのためには、幼児期に愛着関係を構築させていく必要があります。そして、子どもが乗り越えられたら大いに誉める。すると乗り越えることに喜びと自信を感じるようになるでしょう。今は、父に心から感謝しています。

 

◇中嶋 悦子(なかしま えつこ)
1965年生。宮崎県出身。二男二女の母。大網白里市在住。エンカレッジ・ステーション(株)代表取締役社長。NPO法人民間児童館おおきなかぶ理事長。社会福祉法人ありんこ会理事長。ありんこ親子保育園園長。保育士。エッセイスト。
Tel.0475・53・3509

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