ふるさとビジター館 自然探訪 ~千葉市の鳥・コアジサシ~

 夏鳥として本州以南にオーストラリアなどから渡って来るコアジサシ。全長26㎝程、体と尾は白色で、背と翼上面はうすい灰色、頭部はヘルメットをかぶったように黒い。翼と尾羽がツバメのように細くとがっており飛翔する様は、カッコイイ。海岸や河口などの水辺でキリッ、キリッと鳴きながら、狙いをつけて水中にダイビングし小魚をとらえる。その様子から鯵刺(あじさし)の名がつけられたと言われる。
 川原、砂浜、埋立地などに集団で繁殖地(コロニー)を形成し、地面にくぼみを作る簡単な巣に2・3個の卵を産む。かつて千葉県では、東京湾沿岸や九十九里浜、利根川河口で頻繁を見ることができ、内陸部の市原市・山倉ダムや養老川中流域へも飛来記録がある。
 しかし、繁殖に必要な場所の減少、車や人間の繁殖地への侵入等により急激に数を減らし、国際希少野生動植物種に指定され、環境省のレッドリストでも絶滅危惧Ⅱ類(VU)に位置付けられている。千葉市では平成5年に「コアジサシ」を市の鳥に制定、検見川の浜に繁殖地を確保している。東京都大田区では森ケ崎水再生センター屋上に砂礫を敷いて繁殖地を確保、カラスなどへの捕食対策と合わせて大きな成果をあげていると聞く。
 コアジサシだけでなく絶滅の危機に瀕している生物の多くの存続は人間の手に委ねられている。SDGsが叫ばれている昨今、人と生き物の共生・共存をみんなで考えていければと思う。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

 

ナチュラリストネット/自然を愛する仲間の集まりです。豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。 Tel.080・5183・9684(野坂)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  2. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  3. 【写真】第1回ドリームコンサートにて。2部では会場とステージが一体に &…
  4.  明けましておめでとうございます。2005年5月に「こでまりの夢」のコラムが始まって今年で20年になります。今回は第1回で掲載しました『か…
  5.  正月飾りの縁起物に赤い実のカラタチバナがある。これを探して冬の里山を散策した。数は少ないが一株見つかると近くに数株見つかった。11月頃か…
  6. 【写真】西本さん。大谷家具ギャラリー工芸館にて、展示作品と      大分県別府市在住の竹細工職人・西本有(たもつ)さんは、市…
  7.  富山県富山市。標高3000メートル級の北アルプス立山連峰や水深1000メートルの富山湾に囲まれ、人口約40万人の北陸地方を代表する主要都…
  8.  エイサーは沖縄全島と鹿児島県奄美大島に伝わる伝統芸能の一つ。旧盆の時期に祖先の霊を迎え、送り出すための演舞で太鼓や獅子なども使いながら踊…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る