CITYLIFE 地域情報紙シティライフ ふるさとビジター館 自然探訪~栗の花に集まるチョウ~ 2025.06.06 栗は秋の味覚の一種で、甘くておいしい実とそれを利用したモンブランなどのスイーツで人気がある。その栗の花は、梅雨どきの6月頃に咲く。雄花はクリーム色の花穂で、下垂する。甘くおいしい栗の実なので、さぞかし花も良い香りではと連想しがちだが、じつは人間にとって異臭とも思える香りを放つ。イカの腐敗し始めた時のような青臭い独特の香りと例えられるほどだ。 あたり一帯に漂うその強烈な香りは、チョウなどの昆虫をひき付け、受粉を助けるために分泌されている。この時期に発生するミドリシジミ、アカシジミのようなシジミチョウの仲間やカノコガなどの多くが香りに誘われ花に集まるので、虫媒花である栗の性質そのものといえる。栗の雌花が受精し実を付けるとイガになり、そのイガに包まれて実は大きく育つ。イガは、実を動物や虫から守るだけでなく、雨や紫外線から守る役割を担うとされる。花は香りにより上手く昆虫を利用して受粉し、実はイガで動物や昆虫から身を守るという、したたかな戦略で栗は生きている。 一度、栗の花の香りを嗅いでみてはどうだろうか? 昆虫にとっては「匂い」だが、あなたにとっては「匂い」『臭い』のどちらだろう?いずれにしてもその香りが梅雨を感じさせてくれるだろう。 (ナチュラリストネット/岡嘉弘) ◇ナチュラリストネット/自然を愛する仲間の集まりです。豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。